韓国中銀、世界金融危機以来の連続利下げ-トランプ氏勝利で貿易懸念
(ブルームバーグ): 韓国銀行(中央銀行)は28日の金融通貨委員会で、政策金利を0.25ポイント引き下げることを決めた。利下げは2カ月連続。トランプ氏の米大統領選勝利を受けた貿易・経済を巡る懸念の高まりに先手を打ったもようだ。
韓国銀行は、政策金利である7日物レポ金利を3.00%に引き下げた。ブルームバーグが調査した22人のエコノミストのうち、利下げを予測していたのはわずか4人だった。18人は政策金利が3.25%で据え置かれると見込んでいた。
トランプ氏の選挙公約には貿易相手国への関税引き上げや、サムスン電子や現代自動車を含む米国で事業を展開する外国企業への補助金削減の検討が含まれていた。韓国は経済成長の勢い維持で輸出に大きく依存している。
キウム証券のアナリスト、アン・イェハ氏は「半導体関連の輸出について不確実性が高まっている」と指摘。「トランプ氏勝利を受けた中国への追加課税などが景気後退リスクを高める可能性がある」と話した。同氏は金利据え置きを予想していた。
今回の決定は、経済危機が進行中である場合を除き連続利下げを控える同中銀の従来の姿勢に反するものだ。連続利下げは、世界金融危機後の2009年以来となり、金融通貨委員会の危機感を浮き彫りにしている。
同中銀の李昌鏞総裁は会見で決定について「予想以上に拡大している景気下振れリスクに対処するための緩和策の加速だと解釈し得る」と言及。「8月以降の最大の変化の一つは、米国のレッドスウィープ(共和党がホワイトハウスと上下両院を握る圧勝)であり、われわれの予想を上回るものだった」と説明した。
同総裁はまた、金融通貨委員会の6人中2人が利下げに反対したことを明らかにした。一方で、6人中3人は向こう3カ月以内のさらなる利下げの可能性をオープンにしておくべきだとの意見だったとも指摘した。
同中銀は25年の経済成長率予想を1.9%に下方修正した。8月時点では2.1%と予想していた。決定後の声明で、利下げは「経済の下振れリスクを軽減する」と指摘。発表後、韓国の3年債利回りは一時2.645%に低下。通貨ウォンは対ドルで下げた。