古代人はどうやって巨石を運んだのか? ストーンヘンジの祭壇石が720キロ先から運ばれたことが判明
ストーンヘンジは、イギリス南部・ソールズベリーから北西に約13キロの場所にある環状列石。紀元前3100年から紀元前1600年の間にいくつかの段階を経て建設されたと考えられており、象徴的な高さ4~5メートルの30個の立石が直径約100メートルの円形に配置されているサークルは紀元前2600年から紀元前2400年間に、新石器時代と青銅器時代の人々によって作られたとされている。同遺跡は1986年に世界遺産に登録された。 ストーンヘンジの巨石群は、砂岩の一種、サーセン石と、玄武岩のブルーストーンの小石で構成されており、サーセン石は遺跡から25キロ離れたマールボロ近郊、ブルーストーンはおよそ200キロ離れた、現在のウェールズにあるプレセリの丘から運ばれてきたことが分かっている。サーセン石は、ロープや丸太のローラーを使って何百人もの人々によって運ばれたかもしれないが、ブルーストーンはいかだを使って海上輸送された可能性がある。 科学雑誌「ネイチャー」に8月14日に発表された、イギリスのアベリストウィス大学、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、オーストラリアのカーティン大学とアデレード大学の合同で行われた研究によると、ストーンヘンジの中央に置かれた象徴的な「祭壇石」は、720キロ以上離れた場所から運ばれた可能性があるという。 祭壇石は縦4.9メートル・横1メートル、重さ6トンで、ストーン・サークルの中央に部分的に埋まった状態になっている。石はこれまでウェールズの同じ地域で産出されたものと考えられていたが、新しい研究によると、実際には720キロ以上離れたスコットランド北東部のオルカディアン盆地の古い赤砂岩であることが判明した。 スコットランドの考古学者たちは、この発見を喜び、古代の人々がどのように巨石を移動させていたかに思いを馳せている。スコットランドのハイランド地方を拠点とする考古学会社、ハイランド考古学サービスのディレクターであるリン・マッケギーはアート・ニュースペーパーに、「新石器時代における人々のつながりや、彼らが成し遂げた偉業について改めて考えさせられる、実に興味深い成果です」と語った。 また、「British Archaeology」誌の元編集者で『How to Build Stonehenge』の著者であるマイク・ピッツは、祭壇石は陸路で運ばれてきた可能性が高いと主張する。 彼はブログで、海上輸送は莫大な価値のある積荷を失う危険性があり、陸路で移動することで島内の異質なコミュニティを繋ぐ社会的な目的を果たすことが出来たのだろうという推測を発表した。
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