初挑戦から55年、またも跳ね返された凱旋門賞の高くぶ厚い壁。エルコンドルパサー、オルフェーヴルにあってシンエンペラーに足りなかった“アウェー克服スキル”
追加登録料を支払ってまで出走にこぎつけた陣営の英断
レースは好スタートを切ったブルーストッキングが他の出方をうかがうところへロスアンゼルスが外から交わして先頭へ。ソジーがその後ろに位置し、シンエンペラーは中団馬群のなかを進む。アルリファーはややスタートで後手を踏んだこともあり、後方馬群の外から追走する形になった。 フォルスストレートを経て各馬がラストスパートの体勢を整えながら迎えた直線。逃げたロスアンゼルスを交わしてブルーストッキングが先頭に立ち、追いすがろうとするソジーらを突き放して勝利を確定的にする。そこへ中団から7番人気のアヴァンチュールが脚を伸ばして2番手に上がるが、それをものともせずにブルーストッキングは1馬身1/4差を付けて先頭でゴール。2022年のアルピニスタ(Alpinista)以来、2年ぶりとなる牝馬の優勝を達成した。 ブルーストッキングは当初、凱旋門賞への出走登録をしていなかったが、ヴェルメイユ賞の勝ち方の良さを見た陣営が追加登録料12万ユーロ(約1920万円)を支払って出走。見事にターゲットを貫いて見せた。 余談だが、ブルーストッキングの馬券に関して日本では面白い動きがあった。発売が開始されて1時間後の6日8時頃にはオッズ9.5倍の4番人気だったが、最終的にはオッズ5.6倍の2番人気にまで売れたのである。先述の追加登録料を払っての参戦という情報が多くのファンに伝わったのがその要因だと思われるが、海外の馬券発売に慣れるにつれて、日本の競馬ファンの情報入手ならびに処理能力が著しく向上したことを示しているのではないだろうか。 さて、レース結果に戻ると、3番枠から先行したブルーストッキングが1着、4番枠から馬群の中団を進んだアヴァンチュールが2着、10番枠から内に切れ込んで逃げたロスアンゼルスが3着、5番枠から先団で競馬をしたソジーが4着と、内からロスなくレースをした馬が上位を占めていることが分かる。その点で、11番枠から出たシンエンペラー、9番枠から後手を踏んで終始外を回らされたアルリファーには厳しいレースとなった。
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