メカニズムはマカンと共通!新型アウディ「Q6 e-tron」が目指したものとは?
■新たなデザインの特徴 私がもうひとつ気に入ったのは、ボディデザインだ。これからのアウディのデザインテーマを先取りしていて、シングルフレームグリルとアウディが(依然として)呼んでいるフロントグリルの意匠がだいぶ変わって、グッドデザインである。特に白など淡い車体色を選ぶと、グリルの存在感が増して、斬新な印象が強くなる。 キャビンはリアクォーターパネルの傾斜がゆるく、つまり前倒しになり、荷物を運ぶためのクルマでなく、スタイリッシュなイメージが強調される。これも美点だと感じられた。
コクピットも大きく“進化”。Q6 e-tronとSQ6 e-tronのダッシュボードは、デジタル技術によって従来のモデルと一線を画すデザインとなった。 ひとつは、11.9インチOLEDディスプレイと、14.5インチのセンターディスプレイによる「MMIパノラマディスプレイ」。もうひとつは、アクティブ・プライバシーモードを備えた「MMIパッセンジャーディスプレイ」だ。 これは、アウディ初の採用となる助手席モニターで、走行中に助手席の乗員が動画などを楽しめるもの。もちろん、ドライバーが観ることはできない。
ドライバーが楽しめる機能もあるのだけれど、それがたいへん興味深いので、稿をあらためて紹介しようと思う。 ■メッセージを送るデジタルライト デジタル技術は、前後のライトにも使われている。第2世代だといい、アウディでは「アクティブデジタルライト」と呼んでいる。このシステムは、前後を走る車両や、路上の歩行者などにメッセージを送る機能を持つ。 ヘッドランプ内には61個の有機LED(第1世代では6個)、テールランプには60個(同6個)が組み込まれている。三角形を組み合わせて、複雑なアニメーションを展開。
運転者が近づいたり、クルマから離れたりするときのアニメーションをはじめ、対クルマの機能として、後方の車両が接近しすぎたときに警告が表示されたり、緊急停止の際にリアのライトに三角マークが表示されたりという具合。アウディの技術者によると、8つの機能を有しているそうだ。 ヨーロッパでの販売は、2024年後半。アウディジャパンは、日本への導入について「未定」としているが、いずれ発売されるであろう。価格も未定だが、Q6 e-tronで1000万円超という説もある。
メルセデス・ベンツ、BMW、レクサスといったプレミアムブランドのBEVやテスラにとって、“新たなライバル出現”となるだろう。 【写真】アウディ「Q6 e-tron」のデザインと機能性(70枚以上)
小川 フミオ :モータージャーナリスト