メカニズムはマカンと共通!新型アウディ「Q6 e-tron」が目指したものとは?
SQ6 e-tronは、最高出力が330kWに上がり(最大トルクは同一)、乗り味はだいぶ異なる。前者がちょっとふわりとした快適志向の味付けを感じさせたのに対して、後者は足まわりが締め上げられていて、スポーティ志向のドライバーを対象にしていることがわかる。 実際、バスク地方の山岳路を行くのに、車体のサイズはときとして意識したものの、持て余すことはなかった。ステアリングが正確で、車体は一瞬の遅れもなく、ハンドルを握る私の意思どおりの軌跡で動いてくれるからだ。もともとアウディへの期待は高かったけれど、それでも余裕あるサイズのSUVとして高得点だ。
電気モーターによる反応のいい加速と、アクセルペダルをゆるめたときに発電装置の摩擦を使って制動をかける回生ブレーキも、このクルマの武器といえる。減速時にいちいちブレーキペダルに踏み換えなくてもよい、いわゆるワンペダルドライビングも、くねくねしたワインディングロードを走っていくとき、ドライバーに楽をさせてくれる。 ハンドルのコラムから出ているパドルを使って減速させることも可能で、意外なほど使い勝手がよい。
速度にもよるけれど、アクセルペダルから足を離すことなく、カーブの手前で右のパドルを引いて減速、出口が見えたら左のパドルで加速モードへ、というBEVならではの操縦性で楽チンだ。 「新型マカンは、後輪操舵システムをそなえているし、ダッシュがが鋭い。クイックなドライブ感覚が、セリングポイントです。しかし、Q6 e-tronで私たちが追求した方向性は、それとは違います。求めたのは、より高い快適性で、SQ6 e-tronについても同様です。スポーティなモデルを志向する方は、この先に登場するRSQ6 e-tronを待っていただくのがいいと思います」
レーダー氏はそう説明する。たしかに静粛性が高く、ボディを風がたたく音も、タイヤと地面がこすれる音も、ほとんど意識されない。 路面の状態にかかわらず、凹凸はていねいに吸収される。気がつくと思っていた以上の速度が出る危険性を秘めている。それほどナチュラルなのだ。 高速走行が多い人なら、SQ6 e-tronを選ぶといいかもしれない。ドライブモードでスポーツモードを選ぶと、アクセルペダルを軽く踏んだだけでめざましい加速をみせる。そして、ハンドルを切ったときの車体の動きが俊敏で、操縦安定性が高く感じられる。