「自分の役割…、持ち味は…」強豪の中で〝生きる道〟悩み抜き見いだした 福岡大大濠4度目Vに大貢献の献身シックスマン【ウインターカップ】
◆バスケットボール・全国高校選手権ウインターカップ 福岡大大濠77―57鳥取城北(29日、東京体育館) 男子決勝が行われ、前回準優勝の福岡大大濠が鳥取県勢として初の決勝に進出した鳥取城北を77―57(18―17、26―17、21―9、12―14)で破って3大会ぶり4度目の優勝を飾った。 ■福岡大大濠と鳥取城北、決勝までの足跡 福岡大大濠はU18(18歳以下)日清食品トップリーグでの優勝と合わせて「2冠」で、福岡県勢男子の優勝は前回の福岡第一に続き2年連続となる。 頂点への歩みへの原動力となった一人が、不可欠な〝シックスマン〟として奮戦し、大会前の11月からチームキャプテンに就任した見竹怜(3年)だ。鋭いドライブと鉄壁のディフェンスが持ち味で、コートの内外で日本一に駆け上がるチームを支えてきた。 試合後の記者会見場。見竹のチーム内での信頼の厚さがにじみでた。従来なら監督とスタメン5人が登壇する会見に、チームの希望で見竹も出席した。「この決勝戦は自分はあまりシュートを決めきれなくて調子が上がらなかった。そこでチームキャプテンとして自覚を持ち、常にディフェンスでハードワークをしてチームを鼓舞すると思い続けてやっていた。スティールもできて良かった。チームがうまくいかない時にも、特に裕斗(湧川)や伶音(渡邉)、将吾(髙田)が本当にプレーで体現してくれたので自分はずっとベンチから常に声を出し続けることを意識した」と話した。 レギュラーが負傷していたことも影響して、新チームの始動直後はスタメンで出場することも多かった。ただレギュラー選手が復帰後は、重要な6人目の選手に。もちろん悔しい思いもあった。思い悩むことも多かった。「(再度)自分がベンチからのスタート、シックスマンっていう役割になって、自分の役割があまりわからなくなってしまった。本当に自分の持ち味は何なのか…。悩んだ部分もあった…」 それでも前を向いて、自分の役割を考え抜いた。その上で乗り越えたからこそ、今がある。「やっぱり自分はディフェンスを頑張ると決めた。インターハイで負けた時から思った。この冬に向けて、チームで1番のディフェンダーになるという強い気持ちを持ちずっと頑張ってきた」と懸命に研さんを重ねてきた。 たゆまぬ努力は冬の大舞台で結実した。準決勝の東山戦(京都)。世代屈指のプレーヤーの瀬川琉久のマンマークを任されるなどして見事に封じてチームの勝利に貢献した。準決勝だけではない。今大会に向けて守備に力を入れてきたチームにとって、要所で確実に仕事を果たす見竹の守りは欠かせないものになった。 「相手のエースにつくことが多くなると思っていた。強い気持ちを持ち、相手のエースを止めることによってチームを鼓舞できるとずっと考えていた。オフェンス面よりも、ディフェンス面を意識した。プレーで体現していこうと思っていたので、オフェンス面はスタートで出ている5人がやってくれると信じている。その信頼関係が優勝につながったと思う。決勝はこの3年間の中で1番楽しい、思い出に残ったゲームになった」とうなずいた。 片峯監督も自分で悩み考え抜いて、自分の輝く場所をつくりだした見竹の成長を認めたからこそ、11月にチームキャプテンに任命した。「本当に精神的に成長をするのが日々の生活から見えました。見竹が本当にチームのことをよく見て行動してくれた」と献身的にチームを支えた見竹を手放しでたたえた。 大会を総括しては「宿舎での生活も含め、本当に落ち着いて目の前の試合に向けて自分のやるべきこと、チームが勝つために自分のやるべきことっていうのをしっかり明確にしていた。(記者会見に出席した)特にここにいる6人中心に、バスケットを展開することができた。6人以外にもプレータイムは少ないんですけれども、短い時間に何をするかっていうことを明確にしながら、チーム一丸となって目の前の試合に向き合い、戦い抜くことができた。われわれ〝トロージャンズ〟の戦い方ですし、強さだったんじゃないかなと思ってます」とする。見竹をはじめとして、誰もが高い意識を共有して、実践し続けた日々が結実した4度目の戴冠だった。(山田孝人) ▼福岡大大濠が2大会連続決勝へ インターハイ王者に圧倒▼