ラ・リーガ会長テバス、レアル・マドリード会長ペレスの訴えによって資格剥奪の可能性
スポーツ裁定審議会(TAD)は、スペインプロリーグ機構ラ・リーガのハビエル・テバス会長の懲戒手続きを開始した。『マルカ』など複数のスペインメディアが報じている。 TADはスペイン政府のスポーツ上級委員会(CSD)から伝えられた訴訟内容を受けて、テバス会長の懲戒手続きを開始している。訴えたのはレアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長だ。 ラ・リーガは2021年8月に1部&2部クラブをすべて集めた緊急会議を開き、CVCキャピタル・パートナーズからの20億ユーロの資金調達を承認した。だがバルセロナ、アトレティック・クルブ、イビサとともに資金調達に反対したペレス会長率いるレアル・マドリードは、その会議が規定に沿った事前通知を行わずに開かれたとして、その違法性を主張していた。 スペイン国内におけるスポーツ紛争の最高裁判所的位置付けにあるTADは、この一件を「非常に深刻」なものと評価して懲戒手続きを開始。手続きは今後15日間で行われ、テバス会長に対して職務追放処分を科す可能性も存在しているという。 しかしながら本職が弁護士で、ペレス会長のレアル・マドリードと何十回も法廷で争ってきたテバス会長は、TADの懲戒手続きに対しても危機感を覚えていない様子だ。SNSを通じて、ペレス会長に対する皮肉を交えながら、自身の潔白のために闘うことを誓っている。 「まるで誰かさんは受け入れられない様子だ。彼発案のスーパーリーグがフットボールの世界から満場一致で拒絶され、一方でラ・リーガのCVCとのプロジェクトが42クラブ中39クラブと大多数に賛成され、裁判でも認められたことを。誰かさんは受け入れられないんだよ」 「政治的利益を貪るエキスパートである誰かさんは、その特有なフットボール観を押し付けるためにやけっぱちの手段を取ったようだ。しかし、勘違いしないでほしい。私たちはこれからも努力し続けるし、あらゆる打撃から自分たちのことを守り続けていく」 なお焦点となっているラ・リーガのCVCからの資金調達だが、プロジェクトに賛成した39クラブはスタジアムなどのインフラ整備(すでにいくつものクラブがスタジアムの改修・改装計画を発表)や、デジタル事情など商業活動の改善による利益増を見込み、CVCから融資を受けた。ラ・リーガは資金調達する額の90%を40~50年のソフトローンで各クラブに分配したが、レアル・マドリードやバルセロナは「テレビ放映権収入を今後50年間、抵当に入れられることになる」と反対。その一方で、賛成したクラブの代表格であるアトレティコ・デ・マドリードのミゲル・アンヘル・ヒル・マリンCEOは「ラ・リーガはこの協定によってブランド力を高め、さらに競争的になる」「この資金調達によって各クラブの施設は飛躍的に改善され、デジタル事業も一気に推し進めることができる」と、その意義を強調していた。