朝ドラ『虎に翼』の寅子や花江は超エリート女子だった! 選ばれし才女が集った“倍率20倍”の女学校とは?
NHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』の第2週目が放送開始。伊藤沙莉さんが演じるヒロイン・猪爪寅子(いのつめともこ)のモデルとなったのが、まだまだ女性が社会で活躍するという時代ではなかった大正~昭和初期に女性初の弁護士、判事、そして家庭裁判所長となった三淵嘉子(みぶちよしこ)さんである。今回は嘉子さんが通った女学校や明大女子部について取り上げる。 ■狭き門を突破した才女たちが集う女学校 主人公・猪爪寅子(いのつめともこ/演:伊藤沙莉)のモデルである三淵嘉子(みぶちよしこ)さんは、東京府青山師範学校附属小学校を卒業後、東京女子高等師範学校附属高等女学校(お茶の水女子大学付属高等学校の前身)に進学している。 東京女子高等師範学校附属高等女学校の始まりは、明治5年(1872)の官立女学校設立にまで遡る。これは女子に対する英語教育を行うべく設立された文部省直轄の学校で、その立地から「竹橋女学校」「竹平女学校」等と通称されていた。後に「東京女学校」と改称されている。 その後、明治23年(1890)に「女子高等師範学校附属高等女学校」として当時本郷区湯島にあった女子高等師範学校の敷地内に移転。明治41年(1908)に「東京女子高等師範学校附属高等女学校」と改称された。嘉子さんが入学した頃は受験倍率が約20倍ともいわれる一流の教育機関となっていたという。 そもそも、作中で母のはるが「自分は女学校に通わせてもらえなかった」ということを吐露しているように、必ずしも女子が十分な教育を受けられる時代ではなかった。家がある程度裕福な上に、豊富な知識と教養を身につけた女子のみがその道に進むことができたのだ。 現代に生きる我々は寅子の女学校時代を何気なく見てしまうが、彼女らは非常に恵まれた環境に育ち、さらに日々勉学に励んで最高峰の教育を勝ち取っていた秀才だったのである。同級生で兄と結婚した米谷花江(よねたにはなえ)も、そのおおらかでチャーミングな性格からは想像できないようなしたたかさを見せており、寅子を諭す場面や鋭いツッコミからも彼女の頭の良さが垣間見えた。 寅子は非常に優秀な成績を修める優等生として描かれるが、史実でも嘉子さんは頭脳明晰で自身の思考を言語化することに長けていたという。一方で宝塚ファンでもあり、ダンスが得意で同級生と創作ダンスを披露するようなこともあったようだ。また、音楽、美術にも秀でる多才な人物だった。作中でも主演の伊藤沙莉さんが歌を披露しているが、朗らかで歌が得意というのは三淵さんの人物像を反映しているようである。 <参考> ●明治大学史資料センター「三淵嘉子(みぶちよしこ)―NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)の主人公のモデルとなった女子部出身の裁判官―(法曹編)」 ●神野潔『三淵嘉子 先駆者であり続けた女性法曹の物語』(日本能率協会マネジメントセンター) ●お茶の水女子大学附属高等学校概要
歴史人編集部