低損失パワー半導体実用化へ、r-GeO2薄膜上のダイオード形成・動作に成功した意義
立命館大発スタートアップが実現
立命館大学発スタートアップのPatentix(パテンティクス、滋賀県草津市、衣斐豊祐社長)は、ルチル型二酸化ゲルマニウム(r―GeO2)の薄膜上にダイオードを形成し、動作させることに成功した。今後、トランジスタの開発も進め、同材料を用いて低損失なパワー半導体の実用化を目指す。同社は2027年にもGeO2のエピウエハーを市場投入する計画だ。 ダイオードの動作確認は物質・材料研究機構(NIMS)と共同で行った。酸化チタンの基板上にr―GeO2単結晶膜を成膜して、ダイオードを形成した。r―GeO2にはn型の不純物をドーピングした。パテンティクスによれば、r―GeO2を使ったダイオードの動作実証に成功したのは世界で初めてだという。r―GeO2はこれまで高品質な単結晶膜を作成することが難しかった。パテンティクスは一般的なミストCVD法を改良した独自方法で、高品質な成膜を形成した。 同社は25年にもp型での実証も行う考えだ。n型とp型が揃うことで半導体デバイスとしての応用先が広がる。トランジスタの開発も進める考えだ。 GeO2は超ワイドバンドギャップ半導体材料の一つ。炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)と比べて、バンドギャップが広い。バンドギャップが広いほど、低損失なパワー半導体を実現できる。また、GeO2は理論上、p型とn型を両方実現できる点も魅力だ。