外国人出場枠1を巡る「もうひとつの箱根駅伝」
箱根駅伝のチームエントリーが10日に行われ、各出場校がそれぞれ16人以内のメンバーを登録した。今回出場する20校のうち、留学生ランナーが在籍する大学が4校(山梨学院大、日本大、拓殖大、東京国際大)ある。そのなかで山梨学院大と日本大は“悩ましい問題”を抱えている。両校にはふたりのケニア人留学生(ともに1年生と4年生)がいるものの、「留学生は、エントリー2名以内、出走1名以内とする」という規定があり、ひとりは出場することができないからだ。 ちなみに11月の全日本大学駅伝には、留学生の起用制限は設けられていない。しかし、「各校1名」というのが関係者の間では暗黙の了解となっており、特に上位を争う大学は“自主規制”することが多い。今年の全日本大学駅伝でも山梨学院大と日本大は、留学生の起用をひとりにとどめている。 では、箱根駅伝はどうするのか? 日本大は、日本インカレ1万mを制している1年生のパトリック・マセンゲ・ワンブィではなく、4年生のダニエル・ムイバ・キトニーの出走が濃厚だ。小川聡駅伝監督は、「ワンブィの方がスピードはあるけど、長い距離はキトニーの方が強い」とふたりの適性を話しており、箱根予選会と全日本大学駅伝はキトニーを起用した。前回、山上り5区を区間2位と好走したキトニーは、今回も5区での出場が有力で、日本大は山で順位を上げて、シード権を目指す。 ほぼ「答え」が出ている日本大と違い、山梨学院大はギリギリまで悩むことになりそうだ。4年生のエノック・オムワンバと、1年生のドミニク・ニャイロ。ともに実力は学生トップクラスで、過去の箱根にドラマもあったからだ。 前々回の箱根でオムワンバは右脚腓骨の疲労骨折で2区を途中棄権。前回も2区登録されたもののレース前々日に右アキレス腱に痛みが出て、欠場した。上田誠仁監督は、失敗を繰り返してきたオムワンバに特別な思いがある。 高校時代は中距離がメインだったオムワンバはスピードが魅力の選手。1年時の全日本では2区で区間記録をマークしたものの、駅伝の最長区間では、そこまでの爆発力を発揮していない。今季も1500mで日本記録を上回る3分35秒69の日本学生記録を樹立しているが、調子を落としていたこともあり、出雲と全日本の両駅伝は後輩に出番を譲っている。