イチロー氏「1回戦負けと一緒でしょ」母校で初指導 秋16強に苦言「データでがんじがらめ、感性消えていく」
米野球殿堂入り候補者に加わる前日の18日、イチロー氏の姿は愛知・春日井市にあった。母校の愛工大名電を電撃訪問し、3年生含む45人に指導。高校生の指導は11校目だが母校は初で、05年センバツVの名門に“イチ流”の金言を授けた。 辛口エールだ。過去の差し入れ品に言及し「3年生はバッティンググローブ、来たでしょう? 回収です。ベスト8は最低、行ってくれないと。秋の成績は?」。部員が「ベスト16です」と話すと、先輩は言った。「1回戦負けと一緒でしょ。愛工大名電にとっては。寮や施設などを見学させてもらいました。で、この成績はない」 同校は最新機器を取り入れ、データ野球を導入している。「データで見えていないことを大事にしているか。気持ちがどう動くか、感性とか。データでがんじがらめになって、感性が消えていくのが現代の野球」と持論を述べた。ドラフトでソフトバンクに5位指名された石見(いしみ)颯真内野手(3年)とは60メートルのキャッチボール。走塁、送球、打撃を実演した。1年生が時折、2年生に“ため口”を使うと聞き「ある程度、上下関係はあってほしい。緩めるのは簡単だけど、戻すのは大変だから」と呼びかけた。 イチロー氏の高校時代にコーチだった倉野光生監督(66)は「引退していない。本人もまだ“イチロー”という選手を継続している」と感謝。殿堂入り目前でもその心は、原点にある。
報知新聞社