「子どもたちの笑顔を守るため」 物価高と寄付減で厳しさ増すフードバンクや子ども食堂の現状 支援の未来はどうなる?
長引く食料品や光熱費の高騰。年末が近づく中、子どもたちや生活に困っている人々への食料支援の現場には、どのような影響があるのでしょうか。 【動画】食材はすべて地域住民の寄付!“お手伝いシステム”も導入 南区の「子ども食堂」はこちら【3分25秒~】 大石邦彦アナウンサーが、フードバンクや子ども食堂の現状を取材しました。
名古屋市のフードバンク 食料の内容は各世帯に合わせて提供
名古屋市北区にある「NPO法人セカンドハーベスト名古屋」は、企業や個人から寄付された食料品を生活に困っている人々に無償で提供するフードバンクの活動を行っています。 広い部屋には大きな棚やカゴが置かれ、寄付された食料が分類されていました。個人向けに梱包された箱を開封してみると、乾麺やふりかけ、水を入れるだけで食べられるインスタントのご飯などが入っています。 (セカンドハーベスト名古屋・松岡篤史理事) 「水道だけは最後まで止めないので、水で食べていただけるものになる」 困窮している人に提供する食料の内容は、各世帯の事情に合わせたものです。例えば、子どもが3人いるシングルマザー世帯向けには、お菓子が入っていました。 (セカンドハーベスト名古屋・松岡篤史理事) 「シングルマザーの話ですが、お母さんは頑張ってますが、お菓子を買う余裕がなかったそうです。私たちは、いろいろなものを入れた隙間にお菓子をいっぱい入れます。最後にこれ(手紙)を入れる」 手紙には、手書きで体を気遣うメッセージが記されていました。
「悲しい顔は見たくない」物価高と企業のロス削減で提供する食糧減少
しかし、今問題なのは、肝心の食料が足りないことです。 (セカンドハーベスト名古屋・松岡篤史理事) 「ピーク時(3年前)と比べると、(食料保管用の棚が)スカスカですね。3割減です。(理由は)物価高に加え、メーカーが食品ロスを出さないようにしていることが大きな要因だと思います」 一時期、世間で騒がれた米不足。「セカンドハーベスト名古屋」では、在庫として最低10トンを確保しておかなければならないところ、今年は6.9トンしかありません。ほぼ半分です。去年から続く米不足のため、寄付できるお米そのものが激減していると言います。 (セカンドハーベスト名古屋・松岡篤史理事) 「今(助成金で米を)買っています。買わないとやっていけない。今後も買わざるを得ない状況が続くと思います」 企業や家庭で食料が余ることを前提にしているフードバンクですが、節約や合理化が進むと提供が難しくなる現実があります。その一方で、物価高の中で支援を求める世帯は増加しており、東海地方だけでも今年1年間で7000世帯に達する見込みです。 (セカンドハーベスト名古屋・松岡篤史理事) 「これ(食糧支援)で命がつながれば…悲しい顔を見たくない」 厳しい状況の中でも、何とか助けるために食糧支援を続けています。