「自分たちのことは自分たちで決める」学生が自ら運営 大学から立ち退き求められている国内最古の学生寮 京都大学・吉田寮
京都市・左京区の京都大学吉田キャンパスの案内板には、建物のイラストはあるのに、名前が載っていない建物があります。
「吉田寮」です。大学が入寮を認めていないのです。 吉田寮の学生たちは、大学の度重なる圧力と闘ってきました。根底には「自分たちのことは自分たちで決める」という”自治”の原則があります。学生が自ら運営する国内最古の学生寮で受け継がれる自治の精神に迫ります。
築111年 国内最古の学生寮
敷地の南端、名物「立て看板」の先に、吉田寮があります。寮生が中を案内してくれました。(*寮生の学年は取材当時) (農学部 4回生 泉裕隆さん) 「ここは吉田寮の現棟の受付と呼ばれる場所です」 (記者)「管理人はいないんですか?」 (泉さん)「管理人さんや事務員さんのような職員がいらっしゃるわけではなくて、寮生が自分たちで管理する寮です」
(泉さん)「事務室と呼ばれる部屋で昔事務員さんがいたから事務室なんですけど、今はマンガがいっぱい置いてあるのでマンガ部屋とも呼ばれます」
「誰が置いていったのか全然分からないんですけど 読み始めたのはいいものの、特定の巻だけ抜けていてマンガ喫茶で読んだり自分で買ったりしないといけない」
国内最古の学生寮「現棟」には120室あり、寮生が暮らす居室に加え、ゲームをする部屋、麻雀部屋、映画やアニメ鑑賞会を開く部屋など、寮生が共同で使う多種多様な部屋が並びます。
中でも目をひくのは、現棟入り口の目の前にあるコタツ。入口が開いていると外気が直接入ってきます。寒くないのかコタツに入っていた寮生に聞いてみると・・・。 「頭寒足熱って言葉知ってます?頭寒くて足暖かいって書くんですけど、コタツで下半身があったかくて頭は受付からの夜風が吹いてくると超冴えるんですよ。いいですよ意外と。住めば都、石の上にも三年みたいな」
現棟の隣には食堂、そして2015年に建てられた新棟があり、約120人の学生が暮らしています。 寮費は月2500円。国籍や性別、年齢を問わず京大生なら誰でも入る資格があります。 新棟の厨房では、大学院生と学部生、そして中国からの留学生が一緒に中華料理を作っていました。