どんなイベントでも大注目? パンサー・ソロ 2(2) チャンスを逃した驚くほどの動的能力
疑わしい製造品質 驚くほど優れる動的能力
先細りのフロントノーズは低い。両端に、縦軸に回転するリトラクタブル・ヘッドライトが備わる。スペアタイヤが積まれ、ボンネットの中央が膨らんでいる。タイヤは小ぶりな15インチで、1980年代感を醸し出している。幅は前が195、後ろが205だ。 ドアの開口部は小さく、乗り降りは少し難しい。正面のパネルには、6枚のメーターが並ぶ。センターコンソールはドライバー側に傾き、その下部には幅の広いトランスミッション・トンネル。内装は、レザーとアルカンターラで仕立てられている。 価格を踏まえると、製造品質は疑わしい。ボディパネルの隙間にも、むらがある。ペダルが僅かに左側へオフセットしているが、運転姿勢自体は悪くない。 4気筒エンジンは、静かに始動。5速MTのシフトレバーは、ノッチ感があるものの、ゲートへ正確に導ける。クラッチペダルは重め。路面の凹凸を超える度に、内装のトリム類がカタカタと鳴る。 しかし、細かな不満はペースを速めればすぐに忘れる。ステアリングホイールは速度上昇とともに軽くなり、比較的ハイレシオで連続するカーブを縫いやすい。姿勢制御は引き締まり、旋回速度を高めていこうという気にさせる。 細身のタイヤでもグリップ力に不足はなく、リアのグッドイヤー・イーグルもヒタヒタと路面を掴み続ける。シャシー全体が高次元に調整されており、高い信頼感を抱ける。ソロ 2の動的な能力は、驚くほど優れている。
大きなチャンスを逃したパンサー
そのおかげで、2.0L 4気筒ターボエンジンが役不足に思えてくる。サウンドは回転数を問わずビジネスライクで、吹け上がりも軽くはない。3000rpmから5000rpmの間では、少し気持ちを高ぶらせてくれるが、1990年代の水準でもパワフルとはいえない。 神秘的なブランドで、特徴的なスタイリングだとしても、エンジンの印象はあくまでもフォード。結果的に、ソロ 2はロータス・エスプリ・ターボのライバルにはなり得なかった。 パンサーは、大きなチャンスを逃したように思う。高性能ユニットをミドシップし、さらに開発が煮詰められていれば、ジャイアントキラーになれた可能性は充分にある。高めの英国価格も、正当化できたように思う。 協力:パンサー・カークラブ
パンサー・ソロ 2(1990~1991年/英国仕様)のスペック
英国価格:3万9850ポンド(1975年時)/10万ポンド(約1940万円/現在)以下 生産数:11台 全長:4334mm 全幅:1790mm 全高:1180mm 最高速度:231km/h 0-97km/h加速:6.8秒 燃費:6.9km/L CO2排出量:-g/km 車両重量:1561kg パワートレイン:直列4気筒1993cc ターボチャージャーDOHC 使用燃料:ガソリン 最高出力:206ps/6000rpm 最大トルク:27.6kg-m/4500rpm ギアボックス:5速マニュアル(四輪駆動)
サイモン・ハックナル(執筆) ジョン・ブラッドショー(撮影) 中嶋健治(翻訳)