なぜ単なる「クルマ好き」が売れっ子自動車ジャーナリストになれたのか?
同様な依頼はアメリカでもあった。なかでも、LAの大好きなホテルを拠点に4日間、「カリフォルニアを自由に走って、その印象を聞かせてほしい」という依頼は最高だった。しかも、預けられたのは大好きなスポーツ系クーペ。もう、いうことなしだった。 ほぼ60年間、、僕は多くのクルマと多くの人たちに出会い、多くの経験を重ね、多くの思い出を作ってきた。 もちろん、いい思い出ばかりではないが、いい思い出の方が断然多い。僕は楽観主義者かもしれないが、それを差し引いても、確実にハッピーな自動車人生を送ってきたと思う。 なかでも、「開発」という中枢的な仕事を通じて出会った「クルマ好き」「運転好き」の方々とのお付き合いは、僕の人生を楽しく豊かにしてくれた。ここで改めて感謝したい。
● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト
1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。
文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト) イラスト/溝呂木 陽