習近平が落ちた「長期“没落”の罠」…!「校内暴力」と「暴走族」があいつぐ中国で、「愛に飢えた若者たち」の間で起こり始めた「異変」
「いじめ」の横行と「監視社会」
日本であまり知られていないが、中国の小中高校で校内暴力といじめが横行している。 今年3月に河北省で長期間いじめを受けていた13歳の男子生徒が同級生3人を殺害する事件が発生したことを受け、中国政府は対策の強化を余儀なくされている。 中国メデイアは「福建省などで校内暴力予防のためにトイレなどに『悪口探知機』が設置された」と伝えている。 学生の問題行動の要因の1つとして考えられるのは中国で蔓延する児童虐待だ。 国連児童基金(ユニセフ)によれば、中国の18歳未満の26.6%が家庭で身体的虐待を、19.6%が精神的虐待を、26%が親の育児放棄を受けているという。 このため、家族での愛情に不足している中国の子供たちは、ネット上で「愛情深い両親の姿」をコンテンツとして配信するインフルエンサー(デジタルペアレンツ)に救いを求めているというのだ(6月16日付クーリエ・ジャポン)。 愛情に飢えた若者たちは今後、国に救いを求める行動に出るのかもしれない。
よみがえる「文革の悪夢」
中国の若い世代の愛国主義者は「小粉紅」と呼ばれ、その勢力は拡大中だからだ。中国政府もこの動きに注目し、今年1月に愛国主義教育法を施行するなど愛国宣伝に力を入れている。 「習近平国家主席が『文化大革命2.0』を志向している」と指摘されて久しいが、文化大革命の運動母体は「紅衛兵(毛沢東を支持する青少年の組織)」だった。経済発展から阻害されていた紅衛兵の怒りは「人民の敵(地主や富裕層など)」に向けられ、中国全土で凄惨な暴力事件が繰り広げられた。死者は2000万人におよんだとされる。 「文革の悲劇が繰り返す」と断言するつもりはないが、虐げられた中国の若者の今後の動向に細心の注意を払う必要があるのではないだろうか。 つづく記事『中国の若者たちの「習近平への怒り」が爆発寸前…! 海外投資家の「中国離れ」も加速する「深刻な実態」』でも、中国の深刻な状況についてレポートしているので、参考としてほしい。
藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)