愛すべきマイペース、寛一郎「もうこの仕事、やりたくないと思ったことは何度もあります」
近年いくつもの話題作に出演し注目度が急増する俳優の寛一郎さんが、江戸時代前期の北海道を舞台に、アイヌと和人の歴史を描いた映画『シサム』に主演しています。そこにいるだけで独特の存在感と色気を纏った寛一郎さんの意外な素顔とは?
2017年に俳優としてデビューして以来、ドラマ『グランメゾン東京』、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』などさまざまな話題作に出演している寛一郎さん。現在は、江戸時代前期の北海道を舞台にアイヌと和人の歴史を描いた主演映画『シサム』が公開中です。デビューしてもうすぐ8年。寛一郎さんが俳優という仕事をどう考えているか、体当たりで挑んだ『シサム』のことなどを、じっくり言葉を探しながら語ってくれました。
俳優になると言ったら、「まあ、そうか」、以上です(笑)
── インタビュー記事を拝見させていただきましたが、18歳の時に俳優になる決意をされたとか。もともと俳優という職業は視野にあったのでしょうか。 寛一郎さん(以下、敬称略) はい、父親の職業ということもあり、いちばん身近な職業でした。映画もよく観ていたし、撮影の現場にも連れて行ってもらったりしていたので。 ── 「自分も俳優になる!」と決意したきっかけは? 寛一郎 きっかけかぁ。誰かに何かを言われたとか、とくに大きな出来事があったわけではないんです。思春期を経て、将来を考え始めた時期で、そんななかでそういう決断をしました。すみません、あの気持ちを表現するのが難しくて。ただ、父親に「俳優になる」と伝えるのにはやはり勇気が必要でしたね。 ── ある記事で読みました。寛一郎さんがお父様に俳優になると言ったら、「まあ、そうか」とひと言だけ返ってきて、それはかつて佐藤浩市さんが三國さんに俳優になると伝えた時と同じ反応だったと! 寛一郎 そうです、「まあ、そうか」、以上です(笑)。
── 佐藤さん、狙ったのでしょうか……? 寛一郎 時間が経ってますます思うのですが、オヤジと三國さん、同じ反応が出てくるわけないですって(笑)。といっても、やはり印象に残るワンシーンではありましたね。 ── デビューしてもうすぐ8年。俳優という職業は、自分に合っていると感じますか? 寛一郎 ……合っているなと思ったことはあまりないかもしれません。正直、自分が表に立つのはあまり得意ではないんです。でも、もちろん演じていて楽しいし、合っている部分もあります。歯切れが悪いですね(笑)。 俳優って、いろいろなタイプの方がいらっしゃいますが、僕は、自分の興味のあること、知りたいことを、演じることを通して追求していきたいと思っています。 俳優としてというより、人としてという部分のほうが大きいかもしれません。だからといって、自分の興味をかきたてる作品だけをやりたいわけじゃなくて、出演をきっかけに自分の知識欲を刺激してくれるような作品と出会って、作品を観る方に、その魅力を媒介になって伝えていきたいという気持ちが強いです。今回、主演させていただいた『シサム』でも、アイヌ文化について学ぶことができました。