「キテレツ大百科」「パーマン」「エスパー魔美」も登場!ドラえもん「どら焼き屋の経営ゲーム」の人気が急騰している納得の理由
何より、独特の雰囲気があるゲーム会社だ。カイロソフトはこれまで70作品以上をリリースしており、牧場経営、ゲーム開発会社経営、サッカークラブ経営、学校経営など、幅広いモチーフを採用している。ここまでたくさんの作品を出せるのは、基本のシステムを流用しているからだと考えられる。 ゆえに、「どれも似通ったゲーム」だとファンから言われることがある。ゲームの操作も慣れるまでわかりにくいところがあったりと完璧ではないのだが、今回は『ドラえもん』と非常にうまく噛み合っている。
『ドラえもんのどら焼き屋さん物語』がうまくいった理由はいくつか考えられる。1つは開発陣に熱心な藤子・F・不二雄ファンがいたことだろう。かなりのこだわりがあったことが見てとれる。 そして、カイロソフトのゲームとキャラクターものの相性がよいのも重要だ。本作は経営シミュレーションといえなくもないのだが、そう書くと語弊があるのも事実である。 というのも、実際のゲームプレイにおいては、増築して商品を増やしていってイベントをこなしていけば、どんどん成功するからだ。
通常の経営シミュレーションであれば戦略が失敗して破産といった可能性もありうるが、本作は資金が尽きそうになるとドラミちゃんが未来からやってきて現金をくれるのである。持つべきものは頼れる妹だ。 ■経営シミュレーションというよりクリッカーゲーム いわゆるクリッカーゲーム(ボタンを押してどんどん数字が増えていく様子を楽しむゲーム)や、放置ゲーム(ほったらかしていてもお金やアイテムが増えていくゲーム)といったほうが、ゲームのジャンル説明としてはより正確といえよう。
ゆえに、『ドラえもんのどら焼き屋さん物語』は経営シミュレーションとしては歯ごたえがない。しかし、さまざまなキャラクターが登場するゲームとして捉えると、それはそれでよいのである。 本作に求められているものは何か? それはやはり、さまざまな藤子・F・不二雄キャラクターが出てくることと、それに関連したイベントがあることだ。もしゲームとしての難易度が高ければ、それらを楽しむ障害になりうるのである。 このように、本作は藤子・F・不二雄のキャラクターとカイロソフトのゲームがうまく噛み合った一作になっている。今後もカイロソフトと有名キャラクターのコラボレーションがありえそうなほど、相性がよいゲームといえるだろう。
渡邉 卓也 :ゲームライター