ウォール街の不安を反映、新年初週の取引ではリスク回避が鮮明に
(ブルームバーグ): 新年は今後について考える機会だが、未来に関するウォール街の判定は不安というもののようだ。年初の第1週には、2024年の大半を通じて市場を支配してきた旺盛なリスク選好姿勢の後退が、あらゆる資産クラスで広がった。
米国債や社債のボラティリティーは上昇。米株市場は3日には活気づいたが、クリスマス翌日からは記録的低迷に見舞われていた。ビットコインに連動する最大の上場投資信託(ETF)からは、過去最大の資金流出が見られた。
市場にパニックの兆候はなかったが、好景気と米連邦準備制度の緩和政策がほぼ右肩上がりの利益をもたらしてきたリスク資産について、過去1年にほとんど見られなかった警戒感がうかがわれる。
ウォール街で数カ月にわたってリスクテークが横行していたのを見ていた逆張り派にとっては、新たな慎重姿勢は健全なものであり、過熱に対するブレーキとして捉えられる。
それでも、株価下落はクリスマス直後から年初にかけての取引でS&P500種株価指数が上昇する傾向にあるという歴史的なパターンを覆し、トランプ政権2期目の路線の危険性を浮き彫りにした。
「2024年の年末に市場がこれほどリスク回避的になるとは少し驚いたが、市場が25年入りに若干先んじて動きを見せた可能性もある」と、ノースライト・アセット・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、クリス・ザッカレリ氏は述べた。「次期政権が政策を変更する可能性が高いことを考えると、リスクを幾分減らすことは理にかなっている」と続けた。
10年物米国債の利回りは広く注目されている4.5%の水準を上回って推移。トランプ氏の大統領就任後、早ければ今月中にも関税が発動される可能性があり、インフレとの闘いへの逆風が懸念される。いわゆる債券自警団は、トランプ氏の減税政策が財政赤字拡大につながる恐れについても警鐘を鳴らしている。
政策の先行き不透明感から投資家は神経質になり、資産全体でヘッジ需要が高まっている。S&P500種のオプション価格に指標であるCBOEボラティリティー指数(VIX)は4週のうち3週上昇。米国債についての同様の指標であるICE・BofA・MOVE指数は1カ月ぶりの高値を付けた。