「旧ジャニーズ問題」がまだ解決とはほど遠い理由
④ 資本関係、資産調達 ① のファンクラブの運営主体については、STARTO社がSMILE-UP.社とライセンス契約することで運用すると表明されている。これは、芸能ジャーナリストの松谷創一郎氏が詳しく論じ、批判もしているが、経営が完全に分離しているとは言いがたいのが現状だ。 ② の知的財産権については、原盤権やグループ名やロゴなどの商標が知的財産にあたるが、これの所在が不明であり、依然としてSMILE-UP.社が保有しているとみられる。
4月15日、SMILE-UP.社は同社のサイトで、ファンクラブと版権に関する方針を発表した。ファンクラブは、本年夏にSMILE-UP.社から分社化すると発表。当初は同社が株主となるが、段階的に株式の保有割合を減らしていくとしている。音楽原盤などの版権に関しては、現在はSMILE-UP.社と株式会社ブライト・ノート・ミュージック(旧ジャニーズ出版)が共同保有しているが、段階的に保有割合を減少させていくとしている。
ファンクラブや知的財産からの売り上げは、旧ジャニーズ事務所の大きな収入源であった。補償に特化して営利事業を行わないはずのSMILE-UP.社が、旧ジャニーズ事務所に所属していたタレントの芸能活動から利益を上げるという構造では、完全分離できているとは言えない。 ③ の人員体制については、STARTO社の取締役の大半は、旧ジャニーズ事務所ではない外部から招聘している。しかしながら、旧ジャニーズ事務所でジャニーズジュニアの育成をしていた井ノ原快彦氏が、STARTO社の取締役となっていることの是非については、議論の分かれるところだろう。
STARTO社のスタッフの多くは、旧ジャニーズ事務所に所属していたとされている。性加害に加担していないことを確認したうえで受け入れているとのことだが、どこまで確認が行われていたのかは明確でない。 再発防止特別チームの報告書では、スタッフの多くがジャニー喜多川氏の性加害を知りながら、見て見ぬふりをしたり、性加害を容認するような言動を取っていたりしたという。どこまでを「加担していない」と見なしているのか、基準は不明なままだ。