「旧ジャニーズ問題」がまだ解決とはほど遠い理由
一方で、すでに良い方向に変わっている点も見られる。退所したタレントとSTARTO社所属タレントの共演を許容したり、旧ジャニーズ事務所にはなかったエージェント契約を新たに導入したりしている。 今後、芸能活動を続ける意向のある被害者とエージェント契約を結んで、彼らに仕事を斡旋したりできれば、革新的な企業であることを、さらにアピールすることができるのではないだろうか。 ■2社の関係についての説明責任を果たし信頼獲得を
STARTO社には、上記で述べたSMILE-UP.社との関係について説明責任が求められると同時に、将来のビジョンや、それを実現するための収益モデルを提示していくことが求められている。 これまで福田CEOは意図的に表舞台には出てこなかったと思われるが、できる限り早いタイミングで記者会見を行い、説明責任を十分に果たすことが、信頼獲得に寄与するように思う。 現時点では、BBCの第2弾のドキュメンタリーはBBCの有料プランに加入しないと視聴できないが、前作のように、いずれ無料で公開される可能性もある。第3弾も準備されているという。
昨年の第1弾ほどの影響力はないと思われるが、昨年のような連鎖反応が起きて、再び大きな潮流となる可能性も否定はできない。その影響力を懸念したからこそ、SMILE-UP.社の東山社長は(日本のメディアではなく)あえてBBCの単独取材を受けたのだろう。 今回に関しては、外圧によってではなく、旧ジャニーズ関係者による自発的な力によって良い方向に変わっていってほしいと願っている。
西山 守 : マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授