「ゲームだけの人間にはなってほしくない」プロゲーマー・高橋名人が子どもたちに伝えたいこと #昭和98年
臨床心理士 森山沙耶氏の「専門家の目線」
小学校高学年から中学生くらいのお子さんを持つ親御さんには、とても参考になる話だったと思います。特に冬休みなどの長期休暇中は、子どものゲーム時間は長くなりがちです。学童もお休みになるため、いつも以上にゲームにのめり込んでしまうのではないか、と心配されている方も多いのではないでしょうか。 当初は1、2時間で満足できていたのに、それでは満足感を得られなくなり、長時間プレイするようになってしまうケースは実際に多いです。ゲームのことが次第に頭から離れなくなり、他のことに対する意欲や関心が薄れてしまうのはゲーム依存症予備軍の傾向であり、このような症状が子どもに見られる場合は、特に注意が必要です。 一方で、厳しく言いすぎてしまったり、無理にゲーム時間の制限をかけてしまったりすると、かえって意固地になってしまって逆効果になることも。親子間のコミュニケーションとして、きちんと子どもの話を聞いてあげること、そして言い分を頭から否定しないことが重要になります。ゲームの楽しいところはどこなのだろうと、ぜひ子どものほうに歩み寄ってあげてください。高橋名人も「ゲームはコミュニケーションツールの一つ」と話されていましたが、私もそうだと思います。たとえ親である自分が興味を持てなくても、子どもを理解するツール・手段として、ゲームを捉えてみてください。どういうことに楽しさや魅力を感じているのか、子どもとのコミュニケーションを通じて理解しようと試みることが大切なのです。 「ゲームのプロとして有名な高橋名人が、こういうことを言ってるよ」という話をもとに、どうしたらより良くゲームと向き合えるようになるか、話し合ってみるのはいかがでしょうか。その上で、子どもに最適なゲーム時間の目安やゲーム以外にも楽しめることなどを考えてみるといいと思います。 ----- 高橋名人 1959年生まれ、北海道札幌市出身。1982年、ゲームソフト制作会社のハドソンに入社。翌年発売されたファミリーコンピュータの販売促進のため宣伝部に異動。全国で開催したイベントでのゲーム実演が話題となり、メディアから注目を浴びファミコンブームの立役者となる。2011年にハドソン退社後、『STEINS;GATE』などで有名なMAGES.に入社。その後もデバッグ会社のドキドキグルーヴワークスを設立し、代表取締役名人に就任するなど現在もゲーム業界で活躍中。 森山沙耶 臨床心理士、公認心理師、社会福祉士。2012年 東京学芸大学大学院教育学研究科修了。家庭裁判所調査官を経て、病院・福祉施設にて臨床心理士として勤務。2019年 株式会社KENZANにてネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i(ミライ)を立ち上げ。現在はネット・ゲーム依存専門のカウンセリングや予防啓発のための講演・セミナー活動を行う。2021年から特定非営利活動法人ASK認定 依存症予防教育アドバイザー。著書に『専門家が親に教える子どものネット・ゲーム依存問題解決ガイド』(2023年Gakken) 文・中森りほ (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo! JAPANが共同で制作しました) 「#昭和98年」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。仮に昭和が続いていれば、今年で昭和98年。令和になり5年が経ちますが、文化や価値観など現在にも「昭和」「平成」の面影は残っているのではないでしょうか。3つの元号を通して見える違いや変化、残していきたい伝統を振り返り、「今」に活かしたい教訓や、楽しめる情報を発信します。