化石ができる仕組みで地下の湧水を封止、放射性廃棄物やCO2の貯留に道 名大など実証
従来のように圧力をかけて亀裂にセメントを入れる方法だと、圧力で岩盤にダメージを与えてしまう。そのうえ、そもそもセメントからできるコンクリートには水酸化カルシウムが含まれており、100年ほどでカルシウムイオンが水に流れ出て封止効果が得られなくなる。
開発した封止材では地震後に再封止しているように、水の中にあるカルシウムイオンを用いて自己修復し、炭酸カルシウムの結晶をつくって固まる。このことから、半永久的な封止効果が期待できる。
液体タイプとともに開発した粒子タイプの封止材は、セメントに加えてコンクリートをつくることで、通常は100年ほどとされる封止寿命を延ばせる。「化石を内包するコンクリーションが存在する以上、今回の封止材で恒久的に水を止め続けることができるはず」と吉田教授は話す。
研究は、東京大学と岐阜大学、日本原子力研究開発機構、積水化学工業、中部電力と行い、英科学誌コミュニケーションズ・エンジニアリングに5月22日に掲載された。