選挙人の過半数に届かなければ200年ぶりの「臨時選挙」発動で、驚愕の「ねじれ政権」誕生!?【前嶋和弘の2024アメリカ大統領選、深層ウォッチ】
■トランプ敗北なら何が起きる? もうひとつ、前回の大統領選を踏まえて、想定しておく必要があるのは、11月5日の一般投票でトランプが敗北した場合に何が起きるのか、ということです。2020年の大統領選では現職の大統領だったトランプが民主党のバイデンに敗れましたが、トランプ陣営はこの結果を受け入れず「選挙に不正があった」という主張を展開し、各地で票の再集計を求めたり、選挙人の確定を差し止めるための訴えを起こしたりしました。 結局、これらの主張は裁判所によって認められず、むしろ結果的に「最も公正な選挙だった」と言われているわけですが、熱狂的なトランプ支持者たちは「選挙は不正に盗まれた」と主張し続け、これが2021年1月6日の連邦議会襲撃事件を引き起こしただけでなく、トランプ自身も、そしてトランプ支持者たちの多くも、それから4年近く経った今も2020年の大統領選は不正に盗まれたもので、「トランプこそが本当のアメリカ大統領だ」という一種のパラレルワールドを生き続けています。 では、もしトランプが11月5日の一般投票で劣勢となった場合に何が起きるのか? 私はトランプの逮捕・訴追につながった2021年1月6日の議会襲撃のような手荒なやり方ではなく、より巧妙な戦略をトランプ陣営は取るのでないかと考えています。それは、各地で選挙の不正を訴える訴訟を起こすなどして、選挙結果の確定を遅らせ、12月15日に各州で行なわれる選挙人投票を合法的に妨害するというやり方です。 実際、すでにトランプ陣営はそれに向けた準備を始めています。例えばジョージア州の選挙管理委員会はトランプ陣営からの強い要求で、大統領選の開票時に投票用紙の手作業集計を義務付ける新規則を導入しました。これは明らかに開票作業での混乱を狙ったもので、10月15日に同州のフルトン郡高等裁判所はこの新規則の差し止めを決定。これに不服のトランプ側が控訴の動きを見せており、現在も係争中です。