選挙人の過半数に届かなければ200年ぶりの「臨時選挙」発動で、驚愕の「ねじれ政権」誕生!?【前嶋和弘の2024アメリカ大統領選、深層ウォッチ】
■11月5日はアメリカ大統領選の「いち通過点」に過ぎない!? それ以外にも「選挙立会人が偏っていて公正ではない」「投票・開票作業に不正がある」といったデマの拡散、各州選挙管理委員会に対する「選挙不正」の告発や開票結果否認・凍結の要求など、トランプの敗色が濃厚となった場合に備えて、各州の選挙人確定を妨害し、大統領選の結果そのものを否定するための伏線作りをトランプ陣営とその支持者たちが着々と進めています。 そのため、仮に11月5日の投票でトランプに不利な結果が出た場合は、ハリスの選挙人270人確保をなんとしても阻止しようと、各地で多くの訴訟が起こされて、その行方次第では12月16日に行なわれる各州の選挙人選挙や、1月6日の大統領・副大統領の選出が予定通りに行なえず、200年ぶりの臨時選挙で、上院と下院が正・副大統領を選ぶことになるかもしれません。 もちろん混乱の可能性があるのは、11月5日の選挙でトランプの敗色が濃厚なときばかりとは限りません。逆にトランプが接戦の2024年大統領選を制した場合、あるいは、すでに述べたような形で選挙後の混乱が深まり、思いもよらないような形でトランプが大統領の座に就いた場合にも、これに強く反発する左派・リベラル系の人たちの一部が、過激な抵抗運動に出ないという保証はありません。 世界で最も古い「民主主義国家」ともいえるアメリカ合衆国の歴史は、異なるルーツや歴史、文化、背景を持つ人たちが「民主主義」という仕組みによってひとつの国家を形作り、共存の道を探り続けてきた歴史でもあります。しかし、今のアメリカ社会を引き裂く「分断」の傷はあまりにも深く、それは民主主義という仕組みを支える大事な柱のひとつである「選挙制度への信頼」をも大きく傷つけ始めています。 そう考えると、11月5日の投票日は今回のアメリカ大統領選の「いち通過点」で、その後の約2ヵ月間に待ち受けるであろう、さまざまな出来事の先にしか「アメリカと世界の未来」は見えてこないのかもしれません。 インタビュー・構成/川喜田 研 写真/時事