小田急ロマンスカー「VSEと性格真逆」EXEの将来 通勤に活躍、子供を泣かせた“名車”は次世代特急で置き換えへ
一方、展望席やバーミリオン・オレンジの車体色はGSEで採用されている。GSEは観光特急としての運用とともに通勤利用も考慮した車両で、特殊な連接構造は受け継がず、カウンターやサルーン席なども設けていない。2023年にVSEが完全引退し、展望席のあるロマンスカーはGSEだけになった。 VSEで初めてデザインを担当した、建築家の岡部憲明氏が代表を務める岡部憲明アーキテクチャーネットワークはEXEαへのリニューアルを含めてロマンスカーにたずさわってきた。新たにその役割を担うCOA一級建築士事務所は「誰もが快適な空間で楽しい時間を過ごすことができ、ワクワクするような経験ができる車両を探求していきたい」としている。
目標どおりにいけば2018年3月のGSE以来、11年ぶりに新型が登場することになるロマンスカー。デザインや車窓を重視した観光特急と、大量輸送と運用の柔軟性に対応できる通勤特急のバランスをどうとるのか。 小田急の広報担当者は「EXEはすべてαにリニューアルする予定だったが、コロナ禍の影響で2本の編成については見送られていた。先に引退したVSEの後継車両を投入するタイミングで代替することになった」と話す。「開発の着手を発表したばかりでコンセプトをこれから検討する段階」といい、EXEのように分割・併合できる車両かどうかを含め、運用面についても「まったく決まっていない」という。
今後、情報発信をする小田急の一挙手一投足に注目が集まることになりそうだ。
橋村 季真 :東洋経済 記者