【社説】弾劾審判における内乱罪の除外、論争の対象にならない
国会弾劾訴追団が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾審判で「刑法上内乱罪の成立可否」を争わない方針を示したことを受け、与党「国民の力」が弾劾訴追案を再び作成し国会で再議決すべきだと主張している。憲法裁の弾劾審判は12・3戒厳令宣布行為の憲法違反の有無だけでも十分決定できるため、あえて刑法で追及しないという意味だが、与党はこれを過大解釈し、弾劾訴追議決書の無効を強弁している。このように、なんとか言いがかりをつけて内乱捜査と弾劾訴追を遅らせ、無効にしようと躍起になっているから、「内乱擁護党」という指摘が後を絶たないのだ。 国民の力のクォン・ソンドン院内代表は4日「大統領弾劾訴追文の核心である内乱疑惑を弾劾理由から除外するのは、『あんこのないあんまん』ではなく『あんまんのないあんまん』だ」と述べ、「憲法裁判所は弾劾訴追文を却下し、きちんとした訴追文で国会で再議決しなければならない」と主張した。朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾当時、国会法制司法委員長として弾劾訴追を率いた人と同一人物とは思えないほどあきれた主張だ。 憲法裁の弾劾審判は、高位公職者が職務上重大な不正を犯した場合、処罰し罷免する手続きだ。高位公職者の憲法侵害から憲法を保護するための憲法裁判制度なので、憲法に反しているかどうかが重要になる。国会弾劾訴追団が弾劾審判で「刑法上内乱罪の成立可否」を争わない方針を示したのは、12・3戒厳宣布行為自体を訴追対象から除外するという意味ではない。これを内乱とみなすかどうかは刑事法廷で争うことになるため、罷免の可否を決める弾劾審判では憲法違反かどうかを中心に据えるということだ。弾劾審判の原告である国会が、憲法裁の弾劾審判を控えてあらかじめ争点を整理したものとみられる。もちろん、これを受け入れるかどうかは憲法裁が決めることだ。これについては、「明文規定がなく、裁判所で判断すべき事案」というのが憲法裁の公式な立場だ。 2017年の朴槿恵大統領弾劾審判当時も、弾劾訴追議決書の再議決なしに争点を整理した。当時、国会訴追委員団は、朴大統領の賄賂罪、強要罪など刑法上の犯罪の成立については争わず、違憲かどうかだけを明らかにすると弾劾事由書を再整理した。その時の訴追委員団長がクォン・ソンドン院内代表だった。クォン院内代表は当時「刑法上の犯罪成立の可否は憲法裁判の対象ではなく、刑事裁判の対象」だと主張していた。クォン院内代表は自分の発言と行動を忘れたのか、それとも今の弾劾審判にブレーキをかけるため、詭弁を並べているのか。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )