亀田和毅が「厳しい環境で自分を磨く」と“亀田一家離れ”を決断…兄・興毅氏ジムとの契約を解除し井上尚弥とのビッグマッチ狙う
その先のビッグマッチとは、6月7日にWBC世界バンタム級王者のノニト・ドネア(フィリピン)との3団体統一戦を控えているWBA世界同級スーパー、IBF世界同級王者の井上尚弥(大橋)との日本人対決だ。 井上は、ドネアとのリマッチ後は、スーパーバンタム級へ転級する可能性を口にしており、亀田和毅との対戦も現実味を増す。 入国制限は解除されているものの、世界戦では新型コロナの厳格な感染予防対策が求められ、海外のボクサーを招聘することにはまだリスクがある。今後、新型コロナの感染が収束しない限り、国内ではまだ日本人同士の対戦の選択が優先されるという事情もある。“最強モンスター”に挑むには「今のままの環境ではダメだ」との危機感を抱いたのかもしれない。 もともと亀田和毅は3兄弟の中でも異質な存在だった。本人が語っているように、父の亀田史郎氏が、中学卒業と同時に15歳で単身メキシコへ送り出した。和毅は、メキシコでアマチュアからスタート、プロデビューもメキシコのリング。現地でメキシカンスタイルのテクニックを取得したため、兄の興毅氏、大毅氏のようなガードを固めるスタイルではなく、リズムとスピードを生かしたボクシングを身につけて、WBO世界バンタム級王座を獲得し、米国で後に井上尚弥に衝撃KOされることとなるWBA世界バンタム級王者のジェイミー・マクドネル(英国)と2度対戦するなどした。WBOに統一戦として認められず、いずれも判定負けしたが、米国で日本人ボクサーが事実上の統一戦リングに上がったことは画期的だった。 スペイン語も堪能で現地で知り合ったシルセ夫人が生涯の伴侶となった。向上心が高く、パレホ戦の前にも練習拠点を米国に置くなど、すでに亀田一家を飛び出して、切磋琢磨していたという背景もある。 最近も、那須川天心とのビッグマッチ「THE MATCH2022」(6月19日・東京ドーム)が決まったK-1王者の武尊とスパーリングで拳を合わせるなど進化するためにはあらゆるものを吸収しようとアクティブに行動している。 今後も、試合前の練習拠点は米国になる方向だが、国内の所属ジムとしては、今年4月に兵庫県西宮市今津に開設されたばかりの「TRYBOX 平成西山ジム」への移籍が濃厚。まだ正式に契約を結ぶまでには至っていないそうだが、同ジムは、エディタウンゼントジムで12戦4勝(2KO)6敗2分の戦績があり、真正ジムトレーナー、JBCでのレフェリーなどを経て独立した西山一志氏(45)が会長として立ち上げた場所。西山氏の指導が、亀田和毅にとって新たな刺激になるのかもしれない。移籍の文書を亀田和毅は「今後の亀田和毅にご期待いただき、ご声援の 程宜しくお願い致します」という言葉で締めくくっている。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)