愛知県で初 外国人乳幼児の環境と保育を向上する制度が始動 愛知・岡崎市
愛知県岡崎市が、国家戦略特区制度「外国人乳幼児が多い認可外保育施設における指導監督基準の特例」の認定を受けました。岡崎市によると、愛知県内では“初適用”となる制度で、全国では沖縄県北谷町に次ぐ2例目になるそう。 同制度の適用により、岡崎市では外国人乳幼児が多い認可外保育施設にて、乳幼児と“同じ言語を話せる保育従事者”を積極的に採用することが可能に。保育従事者と乳幼児の間で、円滑にコミュニケーションをとりながら保育することができるようになりました。
岡崎市を含む西三河地域は、製造品出荷額等の全国シェア約1割を占める“ものづくり”の地域。岡崎市によると、1990年の改正入管法施行以降、岡崎市ではブラジル人を中心に外国人市民数が増加し、2024年1月1日には、過去最高の13,748人を記録。外国人市民の仕事では工場労働者が一番多く、そのうち60.9%はブラジル人なのだそう。
現状、同制度の対象となる認可外保育施設(1施設)に入所している園児も、ほぼ全員がブラジル人。岡崎市によると、対象施設に入所している外国人乳幼児の割合は2022年~2024年の1月は100%、2024年5月は96%。外国人児童はいずれもブラジル人で、施設内での言語はポルトガル語が使用されているそう。
岡崎市によると、2024年4月1日時点で、市内の外国人乳幼児の人数は、乳児(0~2歳)は320名、幼児(3~5歳)は330名。 指導監督基準上、認可外保育施設において保育に従事する人の3分の1以上は日本の保育士等の資格を保有しなければいけないルールですが、岡崎市では日本の保育士資格を保有し、かつ“外国語を話せる人”を雇うことが難しく、外国人乳幼児が多い認可外保育施設では同基準を満たすことが難しい状況が続いていました。
「外国人乳幼児が多い認可外保育施設における指導監督基準の特例」 を活用することで、市内の外国人乳幼児が多い認可外保育施設では、日本の保育士等の資格保有者の割合が「3分の1未満」であっても、外国の保育資格を有する者を配置するなど一定の要件を満たした場合、指導監督基準上の、「保育従事者の数」と「資格の要件」に適合したものとみなされるように。 これにより岡崎市では、乳幼児と同じ言語を話せる保育従事者の積極的な採用と円滑な保育人材の確保が可能となり、外国人乳幼児に対する“保育の受け皿”の拡充に期待できるようになりました。
この変化に対して岡崎市は、「保育従事者と乳幼児のコミュニケーションが円滑になることで、乳幼児の処遇や保育の質向上にもつながる」とコメント。続けて、「総じて外国人市民の生活環境の充実につながるものと期待しています」と今後に期待を寄せました。