「癇癪持ちで束縛癖がある妻」と“離婚させてもらえない”夫。法律の専門家が授けた“作戦”を決行した結果
離婚したい夫に対して「ある策」を授けた
法務省の司法統計(2020年)によると、家庭裁判所へ申し立てられた婚姻関係事件(5.8万件)のうち、20%(1.2万件)は取り下げられています。離婚調停の場合、基本的には離婚したい側が申し立てています。つまり、5人に1人は離婚を取りやめている計算です。 そこで筆者は離婚、復縁のどちらに転んでもいいように「ある策」を授けました。そうすると幸運が続き、一度は離婚を避けられそうな流れになりました。 拓真さんが筆者の事務所へ相談しに来たのは2019年。妻の行き過ぎた言動に対して堪忍袋の緒が切れたタイミングでした。「妻と別れたいと思っています。どうしたらいいですか?」と頼まれたのですが、正直なところ、妻の性格を考えると拓真さんがいくら頭を下げたり、強い言葉を使ったり、誠実に訴えかけても……今のタイミングではどんな工夫をしても妻が承諾するとは思えませんでした。
誓約書に「守れなかったら離婚する」と…
提案したのは誓約書を記入させることです。本来、誓約書とは夫婦がやり直すための方法ですが、今回は逆です。最初から奥様が誓約書を守れるとは思っていません。守れなかったときに離婚できるようにするためです。そこで誓約書に「守れなかったら離婚する」という1文を入れます。そして後日、妻が約束を破ったとき、誓約書を突き付け、「それじゃ離婚ね」と言えば、妻が承諾する確率は今現在よりずっと上がるでしょう。 誓約書を用意した上で拓真さんは妻との話し合いにのぞみました。「何回同じことを言っても、同じことの繰り返しじゃないか!」とぶちまけたのです。妻は相変わらず「ごめんなさい。私が馬鹿だからいけないのよね。もう、あなたを怒らせたりしないから…信じて!」としおらしい態度をとるのですが、この手のやり取りは過去に何度も行いました。 そこで拓真さんは「今まで口約束で終わらせてきたじゃないか。今回もそれ(口約束)じゃ信じるのは無理だよ……例えば、一筆交わすとか」と提案しました。