「親知らず」抜歯のリスクや対処法はご存じですか? 口腔外科専門医が“抜歯の不安と疑問”を解決!
親知らずの抜歯に危険はない? 起こり得るリスクとその対策
編集部: 親知らずの抜歯に危険やリスクはないのでしょうか? もしあれば、考えられるリスクを教えてください。 小川先生: 全くリスクがないわけではありませんが、適切な対策をおこなうことでリスクを最小限に抑えることは可能です。起こり得る主なリスクとして、術後の出血や感染、傷口の治癒不全、さらに下の親知らずの場合は神経の損傷による術後のしびれや知覚麻痺などが挙げられます。ただし、これらのリスクは、術前の検査と術後のケアで大幅に軽減できます。 編集部: 親知らずの抜歯に際して、特に注意が必要なケースはありますか? 小川先生: 糖尿病で血糖のコントロールができていない人や免疫力が低下している人は、術後の感染症や治癒不全のリスクが高い傾向にあります。また、高血圧で血圧のコントロールが上手くできていない人も、抜歯中に急激に血圧が上昇したり、出血量が多くなったりするリスクがあるため、慎重な対応が求められます。以上のケースに加えて、骨粗しょう症治療薬(BP製剤)や抗凝固剤(血がサラサラになる薬)、免疫抑制剤、抗がん剤を服用中の人に関しても細心の注意が必要です。これらの既往のある場合、事前に主治医に相談し、抜歯が可能かどうか、抜歯に際してどのような点に注意が必要かをよく確認しておく必要があります。 編集部: 親知らずの抜歯で起こり得るリスクを軽減するために、患者側ができることはありますか? 小川先生: 患者さんができることとして、術前の体調管理や禁煙、術後の適切なケアなどが挙げられます。特に、術後は歯科医からの注意事項をしっかり守り、口腔内の清潔を保ちながら傷口を安静にすることが大切です。また、何か異常を感じた場合は、自己判断せずに早めに担当歯科医に相談してください。 編集部: 万が一、抜歯後に治癒不全やしびれ・麻痺などのトラブルが生じた場合、歯科医院ではどのような対応がおこなわれますか? 小川先生: 術後感染による痛みや腫れ、治癒不全に関しては患部の洗浄・消毒をおこなったうえで、抗菌剤や消炎鎮痛剤を服用しながら経過を見ます。下の親知らずの抜歯後に生じるしびれや麻痺については、時間の経過とともに回復するケースがほとんどです。その間は定期的に通院していただきながら、症状の確認や経過を観察します。