料理に食卓塩を追加すると胃がんリスクが41%増加する恐れ【イギリスの研究結果】
さらにボクサー博士は、塩分摂取と胃がんの関係は炎症が原因である可能性を指摘している。「高濃度の塩分に長期間曝されると、胃の内壁で持続的な炎症反応と酸化ストレスが起こる可能性があります」この慢性的な炎症環境は、胃がんの発症に決定的な影響を与える遺伝子変異を促します、と博士は説明する。 とはいえ、塩分は必ずしも悪者ではないし、胃がんを引き起こす危険性は塩分に限ったことではない。もっとも一般的な胃がんのリスク要因には、ピロリ菌感染、喫煙、飲酒、肥満、胃がんの家族歴などがあります、とチャン博士。「慢性萎縮性胃炎(胃の内壁の長期的な炎症の一種)など、胃がんになりやすい基礎疾患もあります」と博士は指摘する。ボクサー博士はまた、塩分の多い食事だけでなく、保護作用のある抗酸化物質やビタミンを供給できる新鮮な果物や野菜が不足した食事も、胃がんのリスクをさらに高めます、と説明する。 けれど、希望が完全になくなったわけではない。リスク要因のいくつかは改善することが可能です、とチャン博士は話す。「喫煙と飲酒を避け、バランスのいい多様で食物繊維が豊富な食生活を送ることで、胃がんのリスクを減らすことができます」胃がんの家族歴がある場合、医師にその旨を伝えておけば、必要に応じて適切な検査を勧めてくれるはずです、とアドバイスする博士。ボクサー医師も同意見で、硝酸塩や亜硝酸塩を含む塩辛い食品や燻製、塩漬け、保存食品の摂取を控えることも、胃がんリスクの低下につながります、とコメント。
まとめ
この研究では、食事に「常に塩をかける」と回答した人は食事に「まったく、またはほとんどかけない」と回答した人と比較して、胃がんの発症率が高いことが判明しました、と話すチャン博士。 「ですが、この発見はあくまでも関連性に過ぎず、因果関係は証明されていません」と彼は指摘する。それはつまり、塩が本当に胃がんを引き起こすかどうかは分からないことを意味している。塩分摂取と胃がんリスクの関連性を明らかにするには、さらなる研究、とくに多様な人々を対象とした研究が必要です、と補足するボクサー博士。 塩辛い食べ物が欲しくなった場合、塩化カリウムや塩化ナトリウムを含む塩の代替品を利用することで、心臓発作や脳卒中のような深刻な健康問題のリスクを軽減できるという研究結果もある。食事時にまだ塩が欲しくなる場合は、塩の代替品に切り替えることを検討してみよう。
translation : Mutsumi Matsunobu cooperation : Yumi Kawamura photo : Getty Images