日系人の手で美しく発展!パラグアイの色彩豊かなレース「ニャンドゥティ」の展覧会が開催
色彩豊かなパラグアイの伝統的なレース「ニャンドゥティ」の展覧会「ハイブリッドな糸」が、東京都内のインスティトゥト・セルバンテス東京2階ギャラリーで2025年2月8日まで開かれている。 植民地時代にスペインから伝わったレースの技術をもとにパラグアイで独自の歴史を積み重ねてきた「ニャンドゥティ」は、日系人らの手で日本にも伝わり、デザインや芸術性の面でさらに発展を続けている。
展覧会には、パラグアイの職人によって作られた伝統的な作品と、日本ニャンドゥティ協会のメンバーによって制作された花々、羊、クジラなどをデザインした創意あふれる作品が並び、比較してみることができる。 また、パラグアイの日系人で日本の大学の大学院修士課程に留学し、ファッションデザインを学んでいる福岡絵美さんが同協会のメンバーと協力して制作した作品が、訪れた人々の注目を集めていた。
12月9日に行われたオープニング・セレモニーに出席した福岡さんは、背中に「ニャンドゥティ」が配された作品について「日本のサムライもかつて着ていたような伝統的衣装の背中には家紋がついています。それからアイデアを得ました」と語った。 セレモニーでは、インスティトゥト・セルバンテス東京のビクトル・アンドレスコ館長が、お祝いの挨拶を行い、駐日パラグアイ共和国大使のマリオ・トヨトシ氏が「多様な糸が織りなす美しさが、私たちのつながりに新しい輝きを与えています」とのスピーチを行い、日系パラグアイ人である福岡さんの「情熱と才能」をたたえた。 また、やはり日系パラグアイ人で日本ニャンドゥティ協会の岩谷エレナ会長が「一つ一つに作り手の愛情が注がれています。個性あふれる作品を楽しんでください」と呼びかけた。
会場では、パラグアイの民族楽器アルパ奏者の藤枝貴子さんによる演奏も行われた。展示品には、パラグアイ国旗をデザインした作品もある。 「ニャンドゥティ」はパラグアイの先住民の言語であるグアラニ語で「クモの巣」を意味する。起源に不明な点は多いが、スペイン・カナリア諸島のレースがもとになったとの説があり、それにパラグアイ独自の文化が融合したとされる。 パラグアイの伝説によれば、ある夜、男の子が木にかかった白いドレスを発見、好きな女の子に贈ろうと木に登ったところ、それは月光に照らされたクモの巣だった。一部始終を見ていた男の子の祖母が自分の白髪でドレスを編んで男の子に渡したのがニャンドゥティの始まりだという。 「ニャンドゥティ」はパラグアイ観光土産の定番の一つ。展示を訪れる人々は、パラグアイへの旅心をくすぐられそうだ。