【社説】ウクライナ特使団を迎えた尹大統領、右往左往するのはやめよ
北朝鮮による大規模な派兵、「早期終戦」を望む米国のドナルド・トランプ前大統領の復帰などにより、大きな「戦略的苦境」に陥ったウクライナ特使団が27日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領を訪ね、兵器支援を要請したとみられる。第2期トランプ政権が公に懸念を表明し、ロシアも報復を公言している中、この要請に応じてもらっては困る。さらに、政府の右往左往する態度が国際社会に「誤ったシグナル」となって伝わったり、国民を非常に心配させたりしてはいないか、政府は真剣に省みるべきだ。 大統領室はこの日、尹大統領がウクライナのルステム・ウメロフ国防相を代表とする特使団と会い、朝ロの兵器・技術移転情報を共有したと明らかにした。大統領室は公開していないが、ウクライナは兵器支援を要請したと推定される。 政府は昨年春から夏ごろにかけて、米国のバイデン政権の要請により、60万発あまりの155ミリ砲弾を、米国を経由して「迂回(うかい)支援」したといわれる。尹大統領は昨年7月にキーウを訪問し、「人道・再建支援を包括するウクライナ平和連帯イニシアチブ」を推進すると述べつつ、「血盟」を結んだ者同士が使うような「生即死、死即生の精神で強力に連帯」しようという表現を口にした。ウクライナが韓国の強力な支援を期待するのは当然だ。 だが今年5月の就任2周年記者会見では、「攻撃用殺傷兵器はどこにも支援しない」と立場を整理した。しかし、朝ロが同盟関係を復活させる「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名すると、「再検討」へと方向転換した。北朝鮮の派兵が伝えられた後の先月22日には、「破壊兵器の支援も可能だ」とまで踏み込んだ。尹大統領はこの日、「ロ朝軍事協力による安保の脅威に対処するため、両国が実効的な対応策を講じていくことを望む」と述べた。 韓国の兵器支援については、米国の次期政権とロシアがいずれも強い反対の立場を表明している。第2期トランプ政権で外交安保政策を担当する国家安保担当大統領補佐官に指名されたマイク・ウォルツ氏は25日、「韓国は(兵器支援を通じて戦争への)介入を検討している」と述べて懸念を示している。ロシアのアンドレイ・ルデンコ次官は、「あらゆる手段で対応する」と警告している。このような中では兵器支援は不可能だ。尹大統領は、これ以上国民を不安にさせる言動は慎むべきだ。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )