深津絵里さん、牧瀬里穂さん…一世風靡したCM「エクスプレス」シリーズ、いくつ知ってますか? JR東海がコロナ禍を経て訴える「会う」ことの価値
新型コロナウイルス禍による利用客の激減を経験したJR東海。復活を印象づけようと、広告に再び力を入れ始めている。「会いにいこう」キャンペーンとして2022年1月、CMに約20年ぶりに起用したのは、俳優の深津絵里さん。キャスティングの狙いを担当者が明かす。 【写真】22年5月に死去したJR東海の葛西敬之氏 社長時代に明かしていた「新幹線食堂車を廃止した理由」
「会いたいという気持ちを支えるのが新幹線。それを一番共感してもらえる登場人物だと考えた」 念頭にあるのは、JR東海が誕生した当初に制作され、社会現象にもなった伝説の「あの」キャンペーン。実はさまざまなバージョンが作られていた。いくつ覚えていますか?(共同通信=宮本寛) ▽シンデレラとクリスマス 日曜夜の東京駅の新幹線ホーム。松任谷由実さんの曲をバックに、新大阪行き最終「ひかり」の前で遠距離恋愛の恋人同士が別れを惜しむ。そんなCMが人気を呼んだのが1987年に始まった「シンデレラ・エクスプレス」だ。 このCMは、国鉄の分割民営化で誕生したJR東海が「新幹線と言えばJR東海」という企業イメージを浸透させる目的で始めた初のテレビ広告。当時のポスターは名古屋市の「リニア・鉄道館」(名古屋市)に保管されている。東海道新幹線の2代目車両、100系の前で女性がガラスの靴を掲げ、「日曜日、最後のひかり。それはシンデレラ・エクスプレス。」と書かれている。キャッチコピーは「駅などでの別れ」。スマホがない時代の切ない情景が表現されている。
ポスター用に作られたガラスの靴は、今も「リニア・鉄道館」で大切に保管されている。靴はキャンペーン終了後も企画を担当した社員が保管し、2014年の東海道新幹線運転開始50周年の特別展に合わせて寄贈された。サイズは21・5センチ。右と左のどちらの足用かは「不明」。JR東海にとって特別な意味を持つキャンペーンだったことが分かる。 ▽深津派?牧瀬派? シンデレラ・エクスプレスの後に制作され、爆発的な人気を呼んだキャンペーンが、「クリスマス・エクスプレス」。CMはさまざまなバージョンが制作された。 テーマは「再会」。山下達郎さんの「クリスマス・イブ」をBGMに、恋人たちがクリスマスに新幹線のホームで再会するまでの情景を描いた。 彼女役になったのが深津さんや牧瀬里穂さん、横山めぐみさんら。キャッチコピーは「会うのが、いちばん」だ。 今回、深津さんの新たなCMを制作するに当たり、担当したJR東海広報部の佐治まさみさんはあらためて当時のCMを見てこう感じたという。