深津絵里さん、牧瀬里穂さん…一世風靡したCM「エクスプレス」シリーズ、いくつ知ってますか? JR東海がコロナ禍を経て訴える「会う」ことの価値
「にくいなあ」 会うのがいちばんと言いながら、会うシーンを直接は描かず、セリフもない。待ちわびるわくわく感を映像と音楽だけで想像させる演出だったためだ。 深津さんの今回のCMでは、演出をめぐる議論が白熱したという。放送時期は、コロナによる緊急事態宣言やその解除と揺れ動いたタイミング。佐治さんはこんな裏話を打ち明けた。 「実は、深津さんがマスクを着けるかどうか、撮影直前まで議論していました。せっかくなら素顔をめいっぱい見てほしいという思いもあった」 それでも最終的にはこう決断したという。 「コロナ禍という時代を表現するにはマスクがあった方がいい」 完成したCMで深津さんはマスク姿で登場。車内で飲み物を飲む時を除いてマスク姿が続き、ラストでようやくマスクを外して笑顔を見せる。 佐治さんによると、今でも社内では「俺は深津派」「私は牧瀬派」といった会話が繰り広げられているという。
▽会うことの価値とは 新シリーズの制作では、現在の社会情勢にこだわった。 「会うって、特別だったんだ。」と呼びかける深津さんのCMに続き、「会いにいこう」キャンペーンを展開。2023年には賀来賢人さんが登場した。政府がコロナを5類に移行すると表明した頃だ。 新幹線の主要な顧客はビジネス客。オンライン会議に慣れてきた状況で「出張して直接人に会うことでしか得られないことを感覚的に思い出してほしい」との思いを込めたという。富士山や橋脚、看板など、乗ったことのある人なら見覚えのある車窓の風景を次々と映し出した。 今年2月下旬からは吉高由里子さんが登場。コロナが明け、移動制限がなくなった現在を表現するため、キャッチコピーには「いこう」という前向きな言葉を選んだ。会いに行く人だけではなく、待っている人のわくわく、そわそわした感情表現にこだわったという。 佐治さんはCM作りを通じてこう考えている。