東京都がLGBT差別とヘイトスピーチ防止へ「人権条例」制定へ
東京都の小池百合子知事は11日の定例会見で、2020年の東京五輪・パラリンピックを踏まえ、LGBT(性的マイノリティ)差別とヘイトスピーチ抑止を目指す条例(人権条例)を制定する方針を明らかにした。都によると、LGBTに焦点を当てた条例は、都道府県では初という。
条例案には、LGBTを理由とした差別の解消へ向け、啓発・教育の推進を盛り込む。LGBTの人たちに対する一元的な相談窓口を新設し、全庁横断的に対応。区市町村とも連携して政策を展開する。 ヘイトスピーチに対しては、都として「許さない」姿勢を明確に打ち出す。具体的には、都の公共施設の利用制限も検討。基準の策定を行うほか、拡散防止のために事案も公表していく。表現の自由に配慮し、学識経験者らによる第三者機関を設置して公平な制度運用を目指すという。 小池知事は「五輪のホストシティにふさわしい『ダイバーシティ(多様性)』を実現し、それを世界に示す」と条例制定に意欲を示した。 条例案は、6月にパブリックコメントを実施した後、9月の東京都議会に提出する予定。可決されれば、条例の一部を先行して施行し、2019年4月から全面施行したい考え。 ヘイトスピーチをめぐる条例は、大阪市が2016年に「ヘイトスピーチへの対処に関する条例」を制定。ヘイトスピーチが行われた場合の拡散防止や、スピーチした人物の氏名または団体名称の公表などを定める。川崎市も今年3月、市の施設でのヘイトスピーチを規制するガイドラインを施行した。都の総務局人権部では、これらの先行事例を参考にしつつ、条例案を検討するとしている。 (取材・文:具志堅浩二)