日本卓球のエース張本智和が語った五輪への闘志。東京で経験した不安、パリでは「いつもの自分を見せたい」 妹美和の出場は「ポジティブでしかない」
「木下グループはすごくいい環境で衣食住、何も不自由がなかったことが、逆にあの時の僕には良くなかったかなと。僕は『やれ』と言われたらやりたくなくて、『やるな』と言われたらやりたいと思うタイプ。1人で暮らしたり、何もそろっていない状況の中で自ら動かなければというか、自立しないといけないかな、とうすうす思っていた」 練習場所や練習相手を自分で確保しなければいけない日々。「積み重ねていく中で、この1、2年ですごく成長できた」との実感がある。 ▽兄妹でメダル 2022年3月に始まり、約2年間続いたパリ五輪シングルス代表の国内選考レースでは首位を独走し、代表の座をつかんだ。 22年秋に中国・成都で開かれた世界選手権団体戦では銅メダルを獲得した。準決勝の中国戦でチームは敗れたものの、世界王者の樊振東と2024年4月16日付の世界ランキング1位の王楚欽を倒して2戦2勝する活躍だった。 国内外の大会でエースの貫禄を示してきた選考レースの期間で、5歳下の妹美和も急成長した。美和は日本卓球協会の強化本部の選考により、女子団体代表入りを果たした。きょうだいでの五輪出場は、日本卓球界で初の快挙となる。
「正直、僕の中では(2028年の)ロサンゼルス五輪で一緒に出られたらいいかなと思っていた。パリで(一緒に)出ようというのは多分、僕も妹も両親もギリギリまで、あまり期待していなかった。(選考レース終盤から)少しずつ『もしかしたら、もしかしたら』という気持ちで、いつの間にか(選考対象最終の全日本選手権が開催された)1月を迎えて(2月5日の代表候補)発表を迎えていた」 「(美和との出場には)ポジティブな心境しかない。自分も一緒に頑張りたいし、女子団体は高い確率でメダルを取れる。自分も取って、きょうだいでメダルを取ることを果たしたい」 ▽「いつも通り」 パリ五輪のシングルスでは中国勢のほか、地元フランスのフェリックス・ルブラン、林昀儒(台湾)らがメダル争いのライバルとなる。団体ではともに初出場の戸上隼輔(井村屋グループ)と篠塚大登(愛知工大)を引っ張る。早田ひな(日本生命)と組む混合ダブルスでは水谷隼、伊藤美誠組に続く日本勢の2大会連続金メダルが期待される。