“町の喫茶店”が減少の一途をたどる中、スタバ・コメダ・ドトールの「大手3チェーン」が店舗拡大を続けるワケ
スターバックス:直営方式にこだわる
アメリカ発祥のコーヒーチェーンで、日本法人は1995年10月に設立され、来年で30周年を迎えるスターバックスコーヒージャパン株式会社。1996年8月、東京・銀座に日本1号店をオープンしてから、現在(2024年6月時点)は総店舗数1948店舗(ライセンス店舗は64店舗)のセルフ型の巨大喫茶店チェーンで、店舗数は最も多い。ライセンス店舗というのは直営で出店が困難な特殊な要因の商圏や立地などに限り契約を結んでいる。 スターバックス自体は1971年にシアトルでコーヒー焙煎の会社としてスタートし、世界83か国に3万2660店舗を展開しているが、内訳は直営が1万6637店、FCが1万6023店だ。日本は直営店がほとんどだ。なぜ、スターバックスは直営方式にこだわるかの理由は、スタバの理念やコンセプトを共有し、チェーンとしての統一性の順守、ブランド価値と提供品質の維持強化を目的としているからである。 フランチャイズシステムを採用すると、短期間でかつ低コストでの積極展開が可能で、規模の経済が発揮できるメリットがあり、また加盟金などの収入も得られる。しかし、加盟店は本部の理念やコンセプトを守るより、自店の儲けを優先するオーナーが存在するから、全体の足を引っ張りかねないのも実情だ。
ブランド価値を守るための管理統制
筆者も外食チェーンでFC運営部に所属し、デメリットの多さも経験してきた。海千山千の人が集まったチェーンで統一性を遵守させるのがいかに大変か思い知ったものだ。直営店を抱えるのは、固定費が相当増え、損益分岐点も高くなるなど経営リスクもあるが、全体のブランド価値を守るためには、直営方式で管理統制の適度な厳格なほうがいい。 業績は2015年に非上場となっており公開されていないが、最後の決算報告であった2014年度を見ると、売上1257億円、営業利益110億円、営業利益率8.7%と損益状況で、費用構造を見るとFLコスト(需要指標である原価(26.2%)+人件費(26.7%)が52.9%と標準値である60%を7.1%下回っている。賃料(R)も11%と低位水準でFLR比率は、標準値を大きく下回り、採算性が高い費用構造になっている。財務の安定性も自己資本比率65.4%と高く、年々盤石化してきているようだ。 メニューを見ると、コーヒーはもちろん、フラペチーノなどやケーキ・クッキー・ドーナツなどデザートメニューも充実しており、通りに面したオープンテラスなど、お洒落な雰囲気でステータスを感じながら、ひと時を過ごせる店である。