「極細」千切りキャベツ続々登場 店の味を自宅で
とんかつ専門店のようなふんわりとした食感を、家庭でも――。パッケージサラダの代表格の千切りキャベツに、極細タイプの商品が登場している。柔らかな食感と鮮度保持を両立させる、最適なバランスを各社が追求する。 【画像】 サラダクラブが発売する「千切りキャベツ 極細カット」 パッケージサラダの市場規模は、右肩上がりで拡大が続く。製造大手のサラダクラブによると、2022年度の市場規模は1969億円と5年で4割増。簡便化のニーズや野菜価格が高い時の代替需要で、スーパーを中心に売り場を広げる。 市場拡大と並行し、商品の多様化も進む。一例が千切りキャベツだ。パッケージサラダの主力商品で、各社がバリエーションを増やして差別化を進める。
口当たり、新鮮さ両立
サラダクラブは20日、「千切りキャベツ 極細カット」を発売する。細くふんわりとした口当たりを望む消費者の声に応え、従来品の半分の細さにカットする。 細くするほど空気に触れる表面積は増え、鮮度が劣化しやすい。ボリュームと細さのバランスにこだわり、変色を防ぎながら、ふんわり感とみずみずしさを追求した。 同社にとって、千切りキャベツは売上高(264億円・23年度)の約2割を占める看板商品。「極細カット」の売り上げを、千切りキャベツ全体の約2割に引き上げる考えだ。広報・広告宣伝部は「料理の付け合わせやサラダに加え、スープやしゃぶしゃぶなど料理素材としても用途を広げたい」と話す。
「とんかつ用」提案
用途に応じた購入を提案するのは、イトーヨーカ堂。プライベートブランド)「顔が見える野菜。」のキャベツを使った「とんかつ用キャベツ 極細切り」を販売する。 ふんわりとした食感を出すため、調達時期や品種、部位によって切り方を変える。「サラダ用」より細くカットし、食感のバリエーションを楽しんでもらう。「ニーズは確実にあり、売り上げは上昇傾向だ」(青果部) カット野菜を製造・販売する彩喜は4月、福島県富岡町に加工工場を完成させた。新工場で製造するパッケージサラダには、単品やミックスなど千切りキャベツを幅広く使う。 栗原浩取締役最高執行責任者(CОО)は「千切りは1・1~1・2ミリが一般的のところ、0・9ミリを実現した。細く切ると製造効率は下がるが、柔らかな食感を重視した」と、こだわりを話す。 (橋本陽平)
日本農業新聞