平安貴族は妻が何人もいる!? 「源氏物語」の世界を知るための基礎知識
2024年NHK大河ドラマ『光る君へ』の放送が始まりました。「家族で楽しみにしている」という方も多いのではないでしょうか。 主人公・紫式部は、日本を代表する古典作品、「源氏物語」の作者。昔も今も変わらない人間の思いや悩みを描いた名作ですが、平安時代の常識は、今の時代では考えられないものが多いのも確かです。 ドラマや古典に触れた子どもからの「これってどういうこと?」の質問に答えるため、まずは親がこの時代について学んでみてはいかがでしょうか。 書籍『10分でおもしろい源氏物語』(世界文化社刊/時海結以[著]、山本淳子[監修])より、紫式部の生きた当時の時代背景や暮らしを触れた箇所から抜粋して紹介します。(イラスト:せきやよい) ※本稿は、時海結以著、山本淳子監修『10分でおもしろい源氏物語』(世界文化社)から一部抜粋・編集したものです。
物語の舞台は平安京
◯政治や文化の中心「平安京」 源氏物語のおもな舞台となったのは、「平安京」で、現在の京都府京都市にあります。今から千年以上前の平安時代に、政治や文化の中心として栄えました。平安京には、帝(天皇)が住む「内裏(だいり)」があり、その周囲に貴族の住む屋敷が集まっていました。
◯四季を楽しめる「寝殿造」 貴族たちは寝殿造(しんでんづくり)という、大きな屋敷に住んでいました。中央にメインの建物があり、南に面した中庭には池があったり季節の草花が植えられたりして、自然を感じられるようになっていました。
姫君の暮らし
◯美人の条件は「長く豊かな黒髪」重ね着でおしゃれを楽しむ 平安時代のお姫さまといえば、床まで届く長い髪と、たくさんの着物を重ね着した十二単(じゅうにひとえ)と呼ばれる姿が代表的です。 「十二」単といっても、実際に十二枚重ねるわけではなく、夏は薄着でした。季節によって着物の色の組み合わせを替え、自分の個性でも替えて、おしゃれを楽しんでいたようです。髪はまっすぐで量が多いのがよいとされていました。 けれど、髪も着物もなかなか洗えないので、お香でよい香りをつけていました。 姫君は屋敷の奥で過ごすことが多かったのですが、正妻として結婚したら夫の着物の世話をしたり、相談に乗ったり、育児もしたのでいそがしかったようです。