<矢野奨吾×内田雄馬>「映画 ギヴン 海へ」インタビュー(1) 「好き」を大切に 真冬、立夏と歩んだ6年間
内田さん ちょうど「ギヴン」の立夏役が決まった頃、僕自身、どうやって人とコミュニケーションを取っていけばいいのか、どんなふうに芝居のアプローチをしていけばいいのか、いろいろ試していた時期だったんです。あまり器用な方ではないので、何に対しても「もう体当たりするしかない」みたいな感覚がすごくあったんですよね。立夏も自分の気持ちを表現する上で、言葉よりも音楽のほうが伝えられる。彼の言語は音楽だったというか。そんな彼の不器用さに共感しましたし、自分を見ているようでした。当時は立夏と一緒に悩んでいましたし、矢野くんと真冬に導いてもらって、「受け止めてくれてた」という感覚がすごくあって。だから本当に「一緒に歩いてきたな」という感じがすごくあるキャラクターだなと思っています。
◇何より“思い”を大切に
--「海へ」において、演技で大切にしたことは?
矢野さん やはり立夏を好きでいること。真冬にとって、音楽や立夏を「好き」という気持ちが大きければ大きいほど、自分ではどうしたらいいのか分からなくなるし、周りから置いていかれる感覚がもっと深く意味を持ってくるんだろうなと台本を読んだ時点で思っていたので、これまで積み重なってきた立夏への思い、音楽への思いは、何よりも大事にしようと思っていました。「ギヴン」のメジャーデビューを前にして、「これから自分は音楽で生きていくんだ。プロとして生きていくんだ」「だからこそ、立夏ともっと向き合って、絶対に両方大事にしていくんだ」という強い思いに昇華されていくのだろうなと。
内田さん 立夏としても、思いというものは大事で。テレビアニメは、自分の気持ちに気付いたり、自分の中で形にできないものに気付いていく段階だったと思うのですが、「海へ」では、それを踏まえた上でどう真冬と向き合っていくのか?が描かれる。自分の中で腑に落ちるということは、自分一人でもできることだけど、「この人と生きていきたい」となった時に、本当に自分の思いだけで先に進めるのか?という迷いはすごくあって、立夏はすごく考えたと思うんですよね。だから、「海へ」では、立夏としては一つの覚悟を決めたお話だったのかなと思っています。