ウクライナ軍、クルスク州でロシア海軍歩兵の小部隊を包囲撃滅 混沌とした戦闘続く
ウクライナ軍は15日、ロシア西部クルスク州で保持する650平方kmほどの突出部の北端で、ロシア軍第810独立親衛海軍歩兵旅団の小規模な部隊を包囲し、撃滅したと報告されている。 【画像】ロシア軍BTR-82に射撃を浴びせるウクライナ軍M2ブラッドレー歩兵戦闘車 ロシア軍がその1週間あまり前にクルスク州で始めた反攻で主力の一翼を担う第810海軍歩兵旅団にとって、新たな惨事になった。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ドナルド・トランプ次期米大統領がウクライナに対して戦線を凍結する形での休戦に応じるよう圧力をかけるのを見越して、トランプが大統領に就任する1月20日までにウクライナ軍をクルスク州から駆逐するよう軍に命じたもようだ。 向こう数週間、激戦が続くことになる。もっとも、これまでのところロシア側は数百mしか前進できておらず、その過程で車両を100両超失ったほか、死傷者も数千人にのぼっている可能性がある。 ロシア軍の反攻部隊のなかでも、大勢の北朝鮮部隊の支援を受けているとみられる2000人規模の第810海軍歩兵旅団は、最も大きな打撃を受けているのかもしれない。ロシアのある軍事ブロガーは「第810旅団は現在、血を流している。(その部隊は)連日、準備不足の突撃に送り出されては敵の頑強な防御にぶつかっている」と書いている。 第810海軍歩兵旅団は、7、8の両日に行った初期の攻撃で大きな犠牲を払った。指揮系統の深刻な機能不全もあらわになり、これが甚大な損害を招く一因になっている。 ロシアの別の軍事ブロガー、ロマノフの投稿によると、第810海軍歩兵旅団の司令部は突出部の北端付近のポグレブキ村周辺を通る道路について、ウクライナ側の地雷は除去されているとロシア軍参謀本部に報告した。「この情報を受け取った参謀本部は当然、この村への強襲を命令した」 実際は道路に地雷が残っていた。第810海軍歩兵旅団の新造のBTR-82装甲兵員輸送車は爆竹のように爆発した。通り抜けた一部の車両も、ウクライナ側の大砲やミサイル、ドローン(無人機)、戦車砲の壁に阻まれた。 ウクライナ軍の第95独立空挺強襲旅団は、第810海軍歩兵旅団は2日間で車両35両前後と人員100人を失ったと主張している。第810海軍歩兵旅団は、悲惨な経験に学ぶどころか、相変わらず部隊を突撃に送り込んでは失敗を重ねている。ロマノフは第810海軍歩兵旅団の司令部について「虚偽の情報を参謀本部に意図的に上げるのが常習的になっている」とも指摘している。