オースティンでのWEC制したフェラーリ83号車、悔しいリタイアに終わった「ル・マン24時間の”救済”になるよ!」
アメリカ・オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で開催されたWEC世界耐久選手権の第6戦では、AFコルセのフェラーリ83号車(ロバート・クビサ/ロバート・シュバルツマン/イフェイ・イェ)が優勝した。 【リザルト】WEC第6戦ローンスター・ル・マン:決勝結果 83号車はファクトリーチームのフェラーリ51号車、50号車と上位を走ると、開始から1時間も立たずに総合首位の座を固めた。その後は、後方から追い上げてきたトヨタ7号車に抜かれるも、終盤に7号車がドライブスルーペナルティを受けたことで83号車が首位に返り咲き。追いすがる7号車から逃げ切ってトップチェッカーを受けた。 シュバルツマンは今回の勝利について、パフォーマンスを発揮しながらもリタイアに終わったル・マン24時間レースの”救済”のような結果だと語った。 「これはル・マンの救済だと言えるものだと思う」 「あれは僕らにとって大きな損失だった。ル・マンでのリタイアの後、ずっとこの瞬間を待っていた。僕たちは勝利に飢えていたし、ついにここでそれを手に入れたんだ」 クビサは、ル・マンでの勝利が「手から滑り落ちた」後、この勝利を「特別なものだ」と語った。 ル・マンでは、83号車が合計83周をリードするなど素晴らしい走りを見せていたが、クビサが夜間にBMW20号車のドリス・バンスールと接触。長いセーフティカー走行の引き金となった。その後、83号車はハイブリッドシステムの不具合でリタイアしたが、20号車との接触で30秒加算のペナルティを受けつつも、83号車はレース終盤まで上位を争っていたのだ。 今回、6時間のレースを通してトヨタの7号車が最も優れたレースペースを持っていたが、黄旗時に減速していなかったとして痛恨のドライブスルーペナルティを受けてしまった。 これで首位から陥落した7号車だったが、小林可夢偉のドライブで猛追。レース終盤には完全に83号車を捉えていた。 レース終盤にドライブを担当していたシュバルツマンは「本当に難しかった」と説明した。 「グリップが低くなり始め、マシンはかなり運転しづらかった。あちこちでスライドしていたんだ」 それでもなんとか逃げ切った83号車は、フェラーリ陣営に今季2勝目を届けた。意外なことに先週末は、フェラーリにとって初めて世界選手権の2レースで勝利した週末となった。 F1イタリアGPでは、フェラーリのシャルル・ルクレールが1ストップ作戦を見事に成功させ、マクラーレン勢を下して優勝を果たしたのだ。 フェラーリはスポーツカー世界選手権を含め、FIA世界選手権の耐久レースで63勝を挙げているが、これまではF1優勝した週末に耐久レースでも勝利したことはなかった。
Gary Watkins