通天閣・世界初!?営業したままの免震工事完了と天井画復刻
通天閣・免震工事完了とともに天井画を復刻ライトアップ THEPAGE大阪
大阪のシンボルと知られ、人気観光スポットでもある「通天閣」は3日、昨秋から進められていた「免震化工事」を終了。同時に進められていた、初代・通天閣にあったという「エントランス吹き抜け大天井」の天井画を復刻させ、ライトアップでお披露目した。同工事は市道をまたいで建つという立地や、展望台などの営業をしながら同日までに工事を間に合わせるという世界でも例をみない工事だったため、施工した竹中工務店の工事関係者もずいぶんと頭を悩ませながら工事を行い、この日までに工事を終了。訪れていた客からは「めでたい時にきてうれしい」などの声が聞かれた。
南海トラフ巨大地震などの発生時を考え工事決断
通天閣の高井隆光副社長によると、現在は2代目で建設から今年で59年たつという。開業時から振動計測が継続的に実施し、鉄骨造建物として構造的な劣化は進んでいなかったが、最新の耐震診断で「塔の一部が変形する恐れ」があることが分かった。 そこで、いずれ起こるとされる南海トラフ巨大地震などの発生時を考え、この工事を「通天閣『NEXT210(ツーテン)』プロジェクト」を題し、昨秋から進めていた。
耐震を免震に、営業をしたまま施工・世界初の工事
同プロジェクト監修指導者には、大阪大学大学院、工学研究科の宮本裕司教授が就任。宮本教授は2011年、13年の2回にわたり地震防災研究の一環として通天閣の震動計測を行い、このプロジェクトを立ち上げるきっかけを作ったという。 設計、施工は竹中工務店が担当。塔の4本の基礎部分に地震の揺れを吸収する免震ゴムを組み入れ、直下型地震に対して地面から伝わる揺れを小さくするという工事を行った。脚部だけを改修という最小限の工事で、上部タワーをそのまま残す世界でも類をみない工事だった。 竹中工務店大阪本店作業所長の永野顕さんは「通天閣の下には市道が走っていて、通行止めなどができなかった」と振り返る。東京タワーや名古屋のテレビ塔の場合は、下が敷地内のためふさいで工事することができたが、それができなかったという。 また「展望台の営業をしながら」という条件も頭を悩ませた。来場者に影響がないよう、入り口などは確保、また下に位置するおみやげ店などの営業も配慮しながらだったため、さらに頭を悩ませたという。