ウルフアロン五輪連覇へ 試合が長引くほど強さを増す「ウルフタイム」のルーツとは?
「やり切った」 東京五輪 その先に見えてきたもの
――パリオリンピックが迫っています。東京の後はモチベーションが落ちた時期もあったと聞いていますが。 ウルフ 目標としていた優勝を果たしてしまっているので、そこからまた同じ気持ちでもう1回というふうに、僕はなれなかったですね。あそこで燃え尽きることができるようにやってきたわけですから。だから燃え尽き症候群というより「やり切った」という感じではありました。そこからまた3年後のパリを目指すにあたり、同じ気持ちでやれるのかと考えたときに、そういう向き合い方はできないと思ったので、柔道を楽しむではないですけど、「もう夢は叶ったけど、まだ行けそうだしやってやろう!」という気持ちです。 ――東京のときとはまた違うメンタリティで臨む2度目のオリンピックになりますね。 ウルフ もちろん、練習に関しては変わらず追い込んでいますが、気持ちの面でいえば東京のときは、どちらかというと柔道に対してすごく近い向き合い方をしていたところがありました。でも、今は大きく全体を見渡しながらやれている。その部分では、いいメンタルで臨めている気がします。 ――最後に、現時点で取り組んでいることや現在の心境などをお聞かせください。 ウルフ まず、スタミナに関しては伸ばせるところまで伸ばしておくことと、技術面でも組み手など、もっと緻密な相手の研究をしていきながら、筋力面でもさらにしっかりと土台を作っておく。「これで準備完了」というのは、僕はないと思っているので、2連覇できるという重みを背負いながら、限られた期間でできることをしっかりやってオリンピックに臨みたいと思います。
取材・文:藤村幸代 撮影:中原義史 取材協力:トレーニングセンターサンプレイ