ウルフアロン五輪連覇へ 試合が長引くほど強さを増す「ウルフタイム」のルーツとは?
トレーニングを 競技に活かすには 常に思考し続けること
――パリ五輪前の最後の国際大会で優勝、男女14階級のうち最後の代表内定ながら、しっかり出場を決めました。お話を伺っていると、柔軟な思考や取り組みがウルフ選手の強みだと感じます。 ウルフ たしかにそうですね。視野が狭くなるのが僕は一番嫌なので、常に視野は広く持っておきながら行動や判断をしています。 ――10代の柔道選手たちにアドバイスを送るとしたら、やはり「視野を広く持て」と? ウルフ 視野を狭くやったほうが強くなる選手もいるので一概には言えませんが、一つの考えで自分を追い込みすぎないというところは大事かなと思います。10代のうちはトライとエラーを重ねていくことが大事だと思うので、自分がやったほうがいいなと思ったことは率先してやったほうがいい。 ――ウルフ選手が高校2年でサンプレイに行ったのも「トライ」の一つだったんですね。 ウルフ 自分はむしろビビッてやらないほうが怖いと思うタイプなんです。怖いなと思っても思い切ってやってみて、その結果でまた自分の考え方が変わってくると思うので。そして、その経験を通して自分なりのやり方を見つけることが一番大事だと思いますね。 ――10代に向けて、トレーニングに関するアドバイスもぜひ。 ウルフ それも結局、自分のやり方を見つけてほしいというだけかもしれません。柔道って、もちろん基礎の部分では決まっていることもあるけど、本当に人によって柔道スタイルもさまざまですし、強みも全然違うので、自分の柔道とつなげることを忘れないでほしいなと。自分がこのトレーニングをするのは、柔道のどこを強化するためか。それをちゃんと説明できるようなトレーニングをするように心がけてほしい。そのほうが、確実にトレーニングを競技につなぎやすくなるので、常に思考を止めないでほしいなと思いますね。 ――やはり考える人ほど強い? ウルフ 考えない強さもあるような気がしますけど、僕は考えながらじゃないとやれないタイプなので。何かを目指したい、こうなりたいという自分がいるなら、やっぱり考える人のほうがそこに対しての近道にはなると思うので、日々自分の些細な変化を見逃さずにいたいなとは思いますね。