「東日本ではストをやらせない」... 毒を取り込み再利用⁉ 流出した「JR東日本幹部発言メモ」
安倍元首相が国士と賞賛した葛西敬之が死の床についた。政界と密接に関わり、国鉄の民営化や晩年ではリニア事業の推進に心血を注ぎ、日本のインフラに貢献してきた。また、安倍を初めとする政治家たちと親交を深め、10年以上も中心となって日本を「事実上」動かしてきた。 【漫画】「しすぎたらバカになるぞ」…性的虐待を受けた女性の「すべてが壊れた日」 本連載では、類まれなる愛国者であった葛西敬之の生涯を振り返り、日本を裏で操ってきたフィクサーの知られざる素顔を『国商』(森功著)から一部抜粋して紹介する。 『国商』連載第26回 『「今の私があるのは住田社長のおかげ」菅義偉元首相を形作った恩人「JR東日本初代社長」住田正二の知られざる「強力な」繋がり』より続く
経営陣の告白が残されたメモ
1993年6月の株主総会をもて、住田会長、松田社長体制が正式に発足する。この3ヵ月前の3月、JR東日本社内で「幹部発言メモ(秘)」なる文書が流出した。松っ崎は民営化後、動労を母体にした労働組合を全国組織の全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)や東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)と改めた。「幹部発言メモ」にはその松崎に対するJR東日本経営陣の見方姿勢が如実にあらわれている。 〈松は革マルじゃないか、という話も出ているが、それはそうに決まっている。会社として松が革マルじゃないなどと一度も言ったことはない。しかし、松は生き延びるために会社に協力する姿勢を取っている。共産党や(社会主義)協会派と闘わせるためには、革マルを使うより手はないというのが、会社の判断だった。この方針は間違ってはいなかった。西や東海のように革マルを切って暴れさせるのは得策ではない。あれはバカだ。ストをやられて困っているようだが、あれは自業自得だ。東日本ではストをやらせない。今後もやらせない〉 ここに出てくる松がJR東労組委員長の松崎を指すのは言うまでもない。流出したJR東日本の「幹部発言メモ」には次のようなクダリも出てくる。 〈JR総連が(他業種の労働組合が加盟する)ナショナルセンターの連合とまずい関係になっているようだが、あれはまずい。連合を脱退するような事になれば、会社としてもカバーしづらくなる。脱退したら付き合えないと大塚を通じて福原に言わせてある。東海のこともやりすぎだ。誰が見たって革マルの仕業と思うのは当たり前だ。あれは東へのブラフでもある。この方針はトップも承知していることだ。柴田監査役も承知している〉