【小規模事業者に寄り添う企業】自身も廃業を経験し、今では飲食業界を支える代表に…「飲食店や小売業の危機を救いたい」思いに迫る
水戸社長の考えの原点
そんな水戸さんもかつては飲食店経営者のうちの1人だった。大学在学中にアルバイト先の飲食店でバイトリーダーをしている中で、接客することや皆で売上を作っていくところに面白さを見出した。 「飲食店はサービス業のため、人と人のつながりやお客様に喜んでもらえることを大事にしなければならないということを学びました」と飲食業界を目指したきっかけについて話してくれた。 そして、水戸さんは親戚が25年も続けているお店で修業をすることになった。そこには20年もの間、通い続けている常連さんがいた。長い期間通ってくれる人がいるということは、ちゃんとお客様に喜んでもらえて、自分で提供したものを気に入ってもらえるからこその結果なのだと、衝撃を受けた。 自身が飲食店を経営するにあたって何をすべきかという学びを経て、10ヶ月の修業の末にお店を開くことに成功した。人を楽しませようという理念のもと、自分なりにメニューを試作したり、ビジネス立地であることを利用した企画を入れたりしてお店を盛り上げようとしていた。 しかし、わずか2年でお店を閉店することになってしまう。お店を立ち上げた当初からワンオペ営業であったことなど、さまざまな厳しさを痛感した。 廃業するときに悲しさはなかったと話す。 「お店をやめるってお客様にいつ伝えたらいいんだろう、とばかり考えていました。実際に閉店することは1ヶ月前に伝えたのですが、最後の1週間で常連さんが集まってくれたり、励ましてくれたりしました。お店はうまくいかなかったけれど、多くの人に支えてもらった実感をもつことができたと思います。また、この廃業したことが飲食店を経営する方に何か支援できることはないかと考えるきっかけになりました。それでたどり着いたのがLea事業でした」
再び挑戦…!
Lea事業を運営しているなか、再び水戸さんに飲食店を経営する機会が訪れる。それはコロナ禍によって、地元である大阪の心斎橋がゴーストタウン化してしまったことがきっかけだった。水戸さんがよく通っていたお店では、そこで働く従業員の方が「全然お客さんが来ないから給料も全然もらえないしどうしよう」と悩んでいたのだとか。 そこで水戸さんは自身が飲食店を経営するときに失業者の方を採用できないかと考えるようになった。この時点でWebを中心にLea事業を運営していた水戸さんは「働きたいのに働けない」という現場の声から、飲食店は大変な状況になっているのだと目の当たりにしたという。 そして、心斎橋で働きたいという思いをもつ方たちと盛り上げていきたいという考えから、水戸さんは自身のお店である焼肉「味来」に失業者の方を採用する方針を取り入れた。 実際に採用された方からは感謝の声が多く集まったという。 「飲食店に対しては労働時間が拘束されてしまうことや、休みを確保しづらいことからブラックなイメージがあると思います。しかし、うちでは労働時間を拘束せず、週2で休みを確保することで今も継続してやっていけているのかなと思います。また、前に働いてくれていた方がたまにお店に来てくれて、人と人のつながりができていることも焼肉屋を始めてよかったことです」と水戸さんは話す。