取引先の他社乗り換えを妨害、三菱商事子会社に排除措置命令…かつて独占状態だった建設業向けクラウド巡り
クラウドサービスを利用する取引先が他社に乗り換えるのを妨害したとして、公正取引委員会は24日、三菱商事子会社のシステム会社「MCデータプラス」(東京都渋谷区)に対し、独占禁止法違反(不公正な取引方法)で再発防止を求める排除措置命令を出した。
発表によると、MC社は2019年以降、建設作業員の氏名や健康診断結果などの個人情報を管理するクラウドについて、取引先が他社に乗り換えようと作業員のデータ提供を求めても拒否するなどした。
建設業者向けのクラウドはかつて、MC社の独占状態だったが、近年は後発の2社がシェア(市場占有率)を伸ばしている。公取委は、MC社が取引先を囲い込む行為が「競争者に対する取引妨害」に当たると判断した。
MC社は同日、「事実認定や法令の解釈で見解の相違が生じている」として、命令の取り消しを求めて東京地裁に提訴したと発表した。同社関係者によると、「情報提供は目的外使用にあたり、作業員の個人情報保護のために提供しなかった」などと主張するという。